レビュー
成果につながらない会議や資料作成に追われ、気づけば一日が終わっている――。そんな徒労感を覚えたことがある人は、決して少なくないだろう。
著者の沢渡あまね氏は、組織開発とワークスタイル変革の第一線で活動し続け、400以上の企業・自治体・官公庁で組織変革を支援してきた。沢渡氏は、冒頭のような状態を「仕事ごっこ」と呼ぶ。
本書によれば、「仕事ごっこ」とは、「生まれた当初は合理的であったものの、時代や環境や価値観の変化、および技術の進歩に伴い、生産性やモチベーションアップの足を引っぱる厄介者と化した仕事や慣習」のことである。情報共有のために全員がオフィスへ集まる会議、社内用にもかかわらず何度も「てにをは」レベルの指摘が入る資料、収益に結びつかない相見積もりやコンペ。こうした形骸化した慣習は、誰かが勇気を出して問題提起しない限り、私たちの時間と体力、そして気力を奪い続ける。
著者は、こうした「仕事ごっこ」を、ユーモアを交えながら的確に言語化していく。問題提起で終わらず、現場ですぐに実践できる視点が具体的に示されるのもポイントだ。著者が関わった企業の事例も豊富で、「自分たちにもできそうだ」と希望が湧いてくるだろう。
時代が変われば、仕事や慣習も変わらなければならない。現場を疲弊させる仕事のあり方を見直したい人はもちろん、日々の仕事に大きな不満を感じていない人にも、本書を手に取ってほしい。読み終えたとき、思考が確実にアップデートされているはずである。
本書の要点
・これからの時代、情報共有は「電子が基本、紙はオプション」と思っておくくらいがちょうどいい。印刷には手間もコストもかかるのだから、紙の資料がほしいなら、自分で印刷するか、追加料金を支払うべきである。
・長時間働く人が評価される風潮は、組織にも、そこで働く個人にも大きなリスクをもたらす。
・多様な人材を活用する「ダイバーシティ経営」の取り組みが広がりつつある中でも、これまでの慣習や制度を変えない「ダイバーシティごっこ」組織が目立つ。多様な人材が価値を発揮できるよう、妨げとなるものは取り除くべきだ。
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