レビュー

休んでいるつもりなのに疲れがとれない——こんな感覚に心当たりがある人も少なくないだろう。働き方改革によって労働時間は減りつつあるが、肝心の「どう休めば回復できるのか」については、学ぶ機会がほとんどない。

本書は、そんな休息の取り方に迷っている人に向けて、具体的で実践的な指針を示す一冊である。
著者である曹洞宗徳雄山建功寺の枡野俊明住職は、執筆や講演、庭園デザインの仕事にも携わり、年間20回以上海外に渡っていた時期もあったという。そんな多忙な生活のなかで、いかにして体力と集中力を保ち、不調に陥らないよう備えてきたのか。それを支えていたのが、禅の教えだ。
禅には休息の技法が詰まっている。たとえば、禅の修行では掃除は、単なる家事ではなく「心を整える行為」として位置づけられている。掃除に集中することで雑念が薄れ、空間が整うだけでなく、思考や感情も整理されていく。その結果、自然と心が休まり、回復の土台が整っていくのである。ちょっとしたことではあるが、実践すれば確かに心が休まりそうな気がする習慣だ。
本書は、休むことに罪悪感を覚えがちな現代人に対し、休息を、「技術」として身につける大切さを教えてくれる。頑張り続けるための本ではない。健やかに生き続けるために、休み方を根本から見直すきっかけを与えてくれる一冊である。

本書の要点

・禅の極意の一つに、「ていねいさ」がある。忙しくて疲れているからと「ていねいさ」を欠くと、仕事や人間関係に悪影響が出て、かえって疲れが増してしまうことがある。
・仕事はていねいにしたほうがかえって効率的だ。マルチタスクは避け、作業をするときは一つのことに集中し、ていねいにやるべきことを片付けていくことが大切だ。
・人は自然と調和することで安らぎを得ることができる。長い時間が取れない場合でも、「部屋の換気をよくする」「外に出て、自然と触れ合う時間を持つ」だけでも休息は得られる。



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