レビュー

本を読んでいるとき、「分かるんだけど、分からない」と感じることはないだろうか。単語の意味は取れるし、文法が極端に難しいわけでもない。

なのに、「よく分からない」。
この現象は、とりわけ教養書(名著や古典)や学術書など、“骨のある本”を読むときに起こりやすい。このような本の文章は抽象度が高く、論理の構造が見えにくい。かつ一定の前提知識を求められるため、目は文字を追っているのに「読めた気がしない」となってしまうのだ。
この「本を読める力」、すなわち「読解力」をテーマにしたのが本書である。著者は、『独学の思考法』『VTuberの哲学』などを手がけた山野弘樹氏だ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程を修了した学術博士で、日本哲学会優秀論文賞などの受賞歴も持つ。本書では学術の世界で培った知見をもとに、教養書・学術書の読み方を手ほどいてくれる。
著者によると、読解力を身につけるにはある程度まとまった文章にあたり、それを読み解く必要があるという。つまり、SNSの投稿やライトな記事ばかりを読んでいても、読解力は育たないということだ。
本書ではさまざまな例文を題材に、細かく分解しながらその論理構造を明らかにし、意味を丁寧にすくい取っていく。そのプロセスは、完成したブロックをいったん崩し、もう一度組み立て直す作業に似ている。
はじめは難解に思えた文章が分かってくる過程は、実に爽快だ。
本書は「20代からの」と銘打たれているが、読解力をつけたいと願うなら年齢は関係ない。ぜひこの機会に、本物の読解力を手に入れてほしい。

本書の要点

・読解力とは「問いを自ら提起し、文脈を補うことで意味を解釈する力」である。「本が読める」とは、その本を「解釈できる」ことを指す。
・意味を解釈するには、その裏にある「論理構造」を読み取る必要がある。
・読解するための「問い」には、「具体を問う」「根拠を問う」「要約を問う」「本質を問う」の4つのパターンがある。
・私たちは、社会が規定する形で意味を解釈させられている。これに抗うために、日常の認識を問い、世界を再解釈しなければならない。



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