レビュー

「お金がないから不安」「お金さえあればなんとかなる」。そう考えている人は多いだろう。

お金は常に人の心を悩ませる存在である。しかし、本当にお金だけが重要であり、お金さえあれば幸せになれるのだろうか。
本書は、お金を増やすことのみに価値を置く生き方の危うさを指摘する一冊だ。著者は「サトマイ」こと佐藤舞氏。前著『あっという間に人は死ぬから』は10万部を超えるベストセラーとなり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」において自己啓発部門賞を受賞している。
佐藤氏は、人は10の資本を持って生きており、お金(金融資本)だけで人生を支えようとすれば、不安定でリスクの高い状態に陥りやすいと説く。仮にお金を失ったとしても、他の資本が十分に育っていれば、再起の可能性は残される。重要なのは、10の資本それぞれに目を向け、バランスよく投資していく姿勢である。
ここで意識したいのが、各資本は多ければ多いほど良いわけではないという視点だ。一定のラインを越えると、投資は趣味の領域に入り、費やした時間やお金に対するリターンは得づらくなる。必要水準を満たした後は、他の資本へ配分を移すほうが賢いというわけだ。
本書は、人生の豊かさや幸せとは何かを、読者に問いかけてくる。
人生やキャリアに迷いを感じている人が読めば、これからの選択を考えるための指針を得られるだろう。

本書の要点

・人生において、お金(金融資本)を増やすことだけに注力するのは大きなリスクを伴う。豊かな人生を築くためには、金融資本に偏らず、10種類の資本それぞれの量と状態のバランスを意識的に整えていくことが欠かせない。
・いずれの資本も、伸ばし始めは効果を実感しやすい一方、一定の水準を超えると、時間やお金を投じてもリターンは逓減(ていげん)していく。必要水準を満たした段階で他の資本へ配分を移すほうが、結果として全体のリターンは大きくなりやすい。
・金融資本の使い方は、「生き方のデザイン」そのものである。お金を増やすこと自体を目的化するのではなく、何を育て、どのような関係を築き、どんな時間を過ごしたいのかを、自らの意思で選び取ることが重要だ。



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