レビュー

職場で「対話が大事」と言われるものの、正直なところ、本音を打ち明ける気にはなれない。「今後やりたいことは?」「気になることはありませんか?」と問いかけられても、言葉に詰まってしまう。

1on1の時間が、いつしか憂鬱になっている――そんな感覚に覚えがないだろうか。本書は、その息苦しさを個人の性格やスキルの問題に還元せず、「コミュニケーション・モード」という視点から解きほぐしていく。
著者の小林祐児氏は、『残業学』『罰ゲーム化する管理職』などの著作でも知られる、労働・組織・雇用をテーマに調査研究を重ねてきた研究者である。現場の実感とデータの両面から職場を捉え、それを一般のビジネスパーソンに届く言葉へと翻訳する力に定評がある。
本書の核となるのは、コミュニケーションを5つの「モード」で捉え直す視点だ。情報を正確に届ける〈小包〉、相互理解を目指す〈円卓〉、不確実性を引き受ける〈跳躍〉、沈黙や間を含めて紡ぐ〈音楽〉、対話から新しいものを生み出す〈創発〉。これらのモードを理解することで、職場での対話がうまくいかない理由が腑に落ちる。
さらに本書は、職場で対話と向き合うための具体的なヒントも提示する。生成AIの存在にも言及しながら、人にしかできない対話の在り方を掘り下げていく。
職場での対話に疲れつつある人に、一読を勧めたい。本書を読むことで、対話の見え方が一変するだろう。

本書の要点

・日本の職場では、本格的な「対話離れ」が進行している。

著者の調査では、上司との面談や会議の場で、40%以上が「全く本音で話していない」と回答した。
・人と人とのコミュニケーションや対話をどのように捉え、どのようなイメージを持つのか。その思考の枠組みは〈小包モード〉・〈円卓モード〉・〈跳躍モード〉・〈音楽モード〉・〈創発モード〉の5つに整理できる。
・言葉のやり取りだけでなく、「ただ、その場に在る」こと自体も一つのコミュニケーションとなる。



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