レビュー

我々人類は、基本的に直感をベースに生きているといってさほど差し支えはないだろう。汎用人工知能を阻む問題として、フレーム問題というものが知られている。

すなわち人工知能はこの世界をどう捉えたらいいかわからず、すべての可能性を処理しようとして停止してしまうというものだ。これは比喩的に言い換えれば、人工知能は「直感」を持っていないといえるし、翻って人間の脳は直感をうまく使って複雑な状況を切り抜けているといえる。
ところが素朴な直感というものはしばしば不正確であることを本書は指摘する。シンプソンのパラドックス、ベイズの定理、バースデーパラドックス、モンティ・ホール問題――直感的に捉えると陥りがちな罠を、統計・確率・論理の観点から丁寧に検証している。
論理や数学だけで生きていくことはできない。考える枠組みを限定することで思考時間を短縮してはじめて人間はその活動が可能になるからだ。一方で、本書は数学や論理に対する無知が、意外な誤認や損失をもたらすことを教えてくれる。数学を専門としない読者にこそ読んでほしい、日常生活の判断や情報リテラシーを鍛えるための実用的ガイドであり、数学が「今すぐに役に立つ知識」であることを実感させてくれる。

本書の要点

・平均値や割合は、集団の分け方次第で全体の傾向と正反対の結果を示すことがある。
・検査結果やリスク判断では、注目しがちな数値よりも、見落とされやすい条件付き確率が決定的な意味を持つ。
・人数や規模が大きくなるほど、偶然の一致は直感以上に高確率で発生する。



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