レビュー

私たちの生活は発展とともにある。新たな技術とともに新たな職が生まれ、古い職が消えていく。

近年は生成AIの登場でそれをより強く意識するようになった。
私たちの社会は資本主義という地平の上に立っている。そこでは発展の中で必ず、創造的破壊が起こる。本書は、いかにして先進国がそのような発展を遂げてきたかという歴史性や、イノベーションの本質、政府の果たすべき役割など、破壊的創造を多角的に論じている。イノベーションを単純に礼讃するのでも、悲観するのでもない。現代における資本主義のあり方と発展を、学術的な姿勢で客観的に分析したものだ。
本書は見るからに分厚く、専門性の高い書籍で読みづらいのではないかと思う読者もいるかもしれない。ところが、そんなイメージに反して、本書は平易な文章で読みやすくまとまっている。複雑なテーマを扱い、話題は多岐にわたるが、今何を読んでいるかも見失いにくい。章の終わりにはわかりやすいまとめが記されているので、要点も容易につかむことができる。
創造的破壊は、成長の原動力であると同時に、不安や混乱を生み出すこともある。本書はその両義性から目を逸らすことなく、歴史的事実と実証研究をもとに、資本主義が抱えるジレンマと、それを乗り越えるための制度や政策のあり方を示している。
変化のスピードが加速する現代において、イノベーションと社会の関係を冷静に捉え直すための確かな視座を与えてくれる一冊である。

本書の要点

・創造的破壊の成長モデルは、ヨーゼフ・シュンペーターのアイデアから着想を得ている。創造的破壊は資本主義の原動力であり、再生の源泉でありながらリスクでもある。
・イノベーションをもたらす発明家が誕生するかどうかは、両親の所得に影響される。十分な数の若者が高等教育にアクセスするよう教育に投資をすることでイノベーションの成長を最大化できる。
・創造的破壊は失業者を出す。セーフティーネットが弱いアメリカでは大きな社会不安をもたらした一方、保障の手厚いデンマークではその影響は軽微だった。



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