レビュー
年齢を重ねるにつれ、時間の減り方が一気に加速した感覚がある。焦りを抱えながら日々を過ごす一方で、気づけばスマホで手近なコンテンツを流し見し、また自己嫌悪に陥る――。
著者の佐藤優氏は、元外務省主任分析官として国家の最前線に立ち、ロシア外交や情報分析の現場で思考を積み重ねてきた人物である。シビアな現場を生き抜いてきた著者だからこそ、時間や人生を語る言葉には、ずしりとした重みがある。
本書の核となるのは、時間を「主体的な自分時間」と「他者に支配された時間」に分けて捉える視点である。“SNSや娯楽にかける時間の多くは他者の利益のために使われている”という指摘は鋭く、多くの現代人が無自覚のまま人生の時間を削り取られている現実に気づかされる。
さらに、人生を「足し算の時間」と「引き算の時間」に分けて考える発想も印象的だ。若い時期は蓄積に集中し、後半はその蓄積を使って生きていく。この整理によって、年齢を重ねること自体を、前向きに捉え直せるだろう。
本書を読むと、日常のふとした瞬間に「これは何のための時間なのか」「もっと主体的に時間を使うにはどうすればいいのか」と自問するようになる。時間に対する価値観を更新したい人、とりわけ人生後半の生き方に迷いを感じている人に一読を勧めたい。
本書の要点
・漫然と日々を過ごしていると、自分の時間は知らぬ間に奪われていく。時間を奪う存在を見極める鍵は、「この時間は誰の利益につながっているのか」と自問することである。
・時間には「主体的な時間」と「受動的な時間」の2種類がある。時間を有意義に使うためには、この違いを明確に意識し、自分時間の比重を意図的に高めていくことが重要となる。
・45歳までは、知識や経験を吸収し、蓄積していく「足し算の時間」である。45歳以降は、それまでに積み上げたものを選び取り、活用して成果へとつなげる「引き算の時間」へと移行していく。
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