レビュー

ロシアによる大規模なウクライナ侵攻開始から4年が経った。気づけば大戦後でも有数の長期間にわたる戦争になっている。

熱心に情報を追い続けている人もいるものの、多くの人は当初ほどの関心を持たなくなってしまったのが実情だろう。報道でも取り上げられる機会が減っており、関心を持ち続けている人のなかでも情報量や理解に格差があることは否めない。
本書は侵攻開始直後から、テレビ番組でもよく解説を担当してきた著者が、第二次ロシア・ウクライナ戦争に関する主要な疑問に対して、膨大な資料から回答を試みるものだ。どれだけ犠牲が出ているか、なぜ長引いているのか、戦時下のロシアの状況、世界情勢におけるロシアの立ち位置、そして日本がこの問題にどう向き合うべきか——。どれも、誰もが疑問に思ったことがあるものだろう。
本書の冒頭でも言及されている通り、現在進行形の戦争を題材にする以上、時が経てば「事実」が覆る可能性もある。しかし、年数を経て少しずつ研究や分析も蓄積しつつあり、開戦当初よりも詳細な情報が集まっているのも事実だ。
本書はこの戦争についての理解を深めてくれるが、もう一つ重要な視点を提供してくれる。それは日本の安全保障についてだ。日本を取り巻く安全保障は日に日に厳しさを増しており、軍事や国際政治に興味がある人なら、それを肌で感じるようになってきている。第二次ロシア・ウクライナ戦争というフレームを通じて提起された日本の安全保障問題は、この戦争が決して「遠くない」ことを教えてくれる。

本書の要点

・この戦争では多くの民間人が犠牲になっている。

戦争の危険が迫っていても、高齢者や障害者など、避難が困難な人は必ず残ってしまう。
・ロシアはプロパガンダを使う傍ら、巧妙に国民感情を調整することでこの戦争を国民に受容させてきた。貧困層は多額の報酬を受け取ることで、多くの市民の代わりに血を流している。
・日本はウクライナを支援している場合ではないのだろうか。だが日本が単独で「軍事大国」に対抗することは困難である以上、今後の安全保障の危機を考えれば、国際社会に「見逃す」インセンティブを与えてはならない。



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