レビュー

「チャッピーに聞いたらさぁ」。要約者が“チャッピー”を知ったのは、中学生の息子との会話だった。

てっきりそういうニックネームの友人がいるのだと思って聞いていたら、生成AI「ChatGPT」のことだとは! 息子は普段からチャッピーと「フツーに話している」という。大人たちが生成AIの扱いに右往左往している間に、若者はこんなにも自然に仲良くなっていたのだ。
しかし、「人間のことばとAIのことばは本質的に異なる」と言うのは、慶應義塾大学教授で言語学者の川原繁人氏である。AIは人間が話すことばで流暢に返すが、その原理は「穴埋めクイズ」に近い。決して内容を理解してことばを発しているわけではないのだ。
とてつもないスピードで進化・浸透していくAIと、私たち人間はどうつき合っていけばいいのか。未だ正解は見えず、さまざまな意見の中で揺れている。そんな中、その答えを「一緒に考えよう」と川原氏が記したのが、本書である。
本書では「AI夢十夜」と表した10話の短編小説(会話劇)を通して、AIが抱える諸問題について考えていく。擬人化された個性的なAIたちが登場し、それぞれの立場からにぎやかに語り合う様子を、おもしろおかしく描いている。本要約では小説3話分に加え、巻末の解説を取り上げた。
AIへの理解を深めたい人、AIは「怖いもの」だと思っている人、AI依存になりかけている人など、AIについて考えたい人は手に取ってほしい。
AIとの適切な距離を見つけるきっかけになるはずだ。

本書の要点

・いつでも話を聞いてくれるAIは心強い存在だ。しかし、頼りきって現実の人間関係がおざなりになってしまうのは危険である。
・大規模言語モデルの学習法は「予測ゲーム」だ。AIはそれっぽい答えを出すが、決して理解して返しているわけではない。
・AIがなぜこんなにうまくいっているのか、未だによくわかっていない。
・AIは膨大な電力を消費する。特に画像生成時は膨大で、画像1枚生成するにはスマホのフル充電ほどの電力が必要となる。



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