レビュー

「生まれつきセンスがよく、クリエイティブの才能がある人なんていません」――本書の「はじめに」の一文に、思わず「えっ」と声が出そうになった。
著者は秋山具義氏。

「マルちゃん正麺」の広告や著書『世界はデザインでできている』などで知られるクリエイティブディレクター/アートディレクターである。そんな秋山氏でさえ、生まれつき才能があるわけではないというのか。
本書で秋山氏は、センスを「『人をハッとさせるアウトプット』を生み出す力」と定義する。そして、どんなアイデアも「十歩先」でも「常識のど真ん中」でも相手には届かないと述べ、「受け手の理解と共感のラインから、ほんの少しだけはみ出す」半歩先という距離感の重要性を説く。
冒頭の一文には、さらに次の言葉が続く。“天性”ではなく、“方法論”を持っているかどうかです――。
「それなら、その方法論を教えてほしい」と思うのが自然だろう。本書はその期待に応え、センスは「知覚→組み替え→表現」という3つのステップによって生まれると説明する。そして、それぞれの段階がなぜ重要なのかを解説しつつ、その実践法を17種類のメソッドにまとめている。どれも日常の中で、楽しみながら実践できそうなものばかりである。
「センスとは……」で始まるフレーズが何度も登場するのも、本書の特徴だろう。超一流のクリエイティブディレクターがセンスをどう捉えているのか、ぜひ本書で確かめてほしい。
きっと、センスの見方が変わり、ひいては世界の見え方までも少し変わるはずである。

本書の要点

・センスとは「人をハッとさせるアウトプット」である。十歩先でもなく、既存の枠に収まるのでもない、「半歩先」を提示することが、「人をハッとさせるアウトプット」につながる。
・センスとは「感覚的ひらめき」ではない。センスがいい人は、無意識のうちに頭の中で「知覚→組み替え→表現」という3つのステップを踏んでいる。
・知覚とは「センスの種」を拾い集める作業である。知覚を鍛えるには、バスに乗っているときや通勤路を歩いているときなどに、「見慣れたものを見慣れないように見る」トレーニングが有効だ。



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