文 小川由紀子
30年の時を越えて
9月17日に開幕したCLの初戦でレアル・マドリーに3-0で勝利、快調なスタートを切ったパリ・サンジェルマン。
この試合でのPSG陣の戦いぶりもさることながら、日頃からユニフォームに興味のある人ならきっと気になったであろうと思うのは、彼らが身につけていたCL用のサードジャージ。最近では珍しくなった、ポロシャツ風の襟つきデザインなのだ。
これは、キットスポンサーのナイキが今年で30周年を迎えたPSGとのパートナーシップを記念して、1989-90シーズンのデザインにオマージュを捧げたもの。胸のスポンサーロゴやエンブレムのデザインは違うが、白地のシャツの左側に赤とブルーのラインが入ったデザインは、30年前のものをリメイクしている。
https://twitter.com/Footy_Headlines/status/1174914295567507457下の2つがPSGの30年前と今季のジャージ
襟なしシャツが主流になった昨今では、かえって目新しくて斬新だ。クラシックでなかなかかっこいい。選手たちも心なしかお坊ちゃん風に見える。
ホームタウンにスタジアム、スポンサーまで
PSGだけでなく、サードジャージには各クラブとも遊びゴコロや裏メッセージを込めているんだそうだ。
同じくリーグ1から出場しているリールは、左胸のエンブレムの五角形が広がっていく感じの、ちょっと蜘蛛の巣チックなデザイン。これはリールの城塞をモチーフにしたもの。17世紀に造られたリール市の城壁は航空写真で見るときれいな五角形をしていて、クラブのエンブレムもこの形を象徴している。サードジャージでは白地のシャツにくっきり五角形が描かれていて、かなり個性的なデザインになっている。
https://twitter.com/LOSC_EN/status/1178238037731532800リールのサードジャージ
街の象徴をモチーフに使うのはよくある例で、黒字にペパーミントグリーンの柄が散りばめられたリバプールのサードジャージの配色は、街のシンボルである鳥「ライバー・バード」を連想させるものだ。
https://twitter.com/LFC/status/1152510597302489088
今季のリバプールのサードジャージと、配色のモチーフとなったロイヤルリバービルディングのライバーバード
PSGと同じくナイキ製のバルセロナのサードジャージは、やはりクラシック志向なデザインになっているが、地模様に埋め込まれているのはバルセロナ市の紋章だ。
バルセロナのサードジャージに袖を通すピケ
一方で、ホームスタジアムのイメージをシャツに表現したというものはファーストジャージに多い。一番わかりやすいのはバイエルン。アリアンツ・アレナの外壁のボコボコ柄を、赤字のシャツの地模様にプリントしている。
https://twitter.com/FCBayernEN/status/1163433808789725184バイエルンの今季のニューファーストキットとニューフェイス
チェルシーのブルーのシャツの地模様も、スタンフォードブリッジのスタンドの様子を描いてあるそうだ。
https://twitter.com/ChelseaFC/status/1177966613502529542チェルシーのファーストジャージ
また、トッテナムの場合は鮮やかなブルーのサードジャージが新装したホワイトハートレーンのイメージを表現したものということらしいが、新装開店後の新スタジアムにまだ行っていないのでちょっとピンとこない。今度現地で確認してみたいと思う。
https://twitter.com/SpursOfficial/status/1174345914925879298前回のGS第1節でお披露目されたトッテナムのサードジャージ
番外編としては、インテルの漆黒のシックなサードジャージは、スポンサーであるタイヤメーカー、ピレリのイメージを押し出してモータースポーツの世界を表現したものらしい。ちょっとピレリの制服みたいな感じもするが……。
https://twitter.com/Inter/status/1170954993614184448インテルのサードジャージ
そんなジャージのメッセージにも注目しつつ、今シーズンのCLも楽しんでいきたいと思う。
Photos: Nurphoto/Getty Images, Getty Images