文 神尾光臣
ナポリは1月30日、SPALからFWアンドレア・ペターニャの完全移籍を発表した。契約は5年間。
ローマとの争奪戦をナポリが制す
24歳になる巨漢のCFはミランの下部組織出身。複数のクラブにレンタルで”武者修行”に出されていたが、2016年1月にアタランタが保有権を獲得。16-17シーズンからチームの中核として活躍し、移籍市場での評価を大幅に上げた。
そして2018年夏、かつて祖父のフランチェスコが監督を務めたSPALが獲得の意思を表明し、買い取り義務付きのレンタルで移籍した。レンタルと移籍金で掛かった額は実に1500万ユーロ。その期待に応えてペターニャは実績を残す。昨シーズンは16ゴールを挙げ、今シーズンも第21節終了時点で8ゴール。前線でターゲットとなるだけでなく、自らドリブルでボールを運んでゴールもアシストも担う万能ぶりは、戦力の限られたチームの中にあって頼もしい存在となった。
当然各クラブから注目の的となり、最終的にはローマとの争奪戦を制してナポリが獲得。SPALの本拠地フェッラーラのローカル紙『ラ・ヌウォーバ・フェッラーラ』によれば、ナポリのジェンナーロ・ガットゥーゾ監督はすぐにペターニャをほしがったという。
ただ、その要求はSPALが拒否。ユベントスに移籍決定後、レンタルでパルマに残ったデヤン・クルゼフスキなどと同様に、現在の所属先の成績に貢献することを求められる格好となった。
同様のケースは今後、増加する?
しかし、どうせ今シーズンいっぱい選手を手元に残すというなら、どうして冬のメルカートで契約などしてしまうのか。フェッラーラのローカルTV局『テレステンセ』は「最悪降格になってしまった場合は移籍金を下げざるを得なくなると考えられるから、移籍交渉を締結するには今のタイミングしかないとSPALは考えたのだろう」と報じた。
エラス・ベローナで好調のDFアミル・ラフマニもナポリへの移籍を決めたが、今シーズン終了までレンタルの形で残留するという契約を結んだ。地方クラブからビッグクラブへの選手移籍にあたって、今後このようなケースはもっと増えてくるのかもしれない。
ナポリではペターニャに期待を寄せるファンもいる一方、「キエーボから獲得したものの一度もプレーすることなくパルマに買われたロベルト・イングレーゼの二の舞になるのでは」という声や、「ナポリが放出したドゥバン・サパタをのちにアタランタが手に入れ、その彼らが放出したペターニャをウチが買うとは」という皮肉もSNS上では流れていた。
しかし、ペターニャは潜在能力も実績も折り紙付き。自身のSNSでは「夢が成就した。新しい挑戦への準備はできているし、ナポリのクラブやファンの皆さんが示してくれた信頼に応えたい」とナポリ移籍後の抱負を語ると同時に、「まずはSPALでの使命をきちんと終わらせたい」と今シーズン終了までの活躍を約束した。
Photo: Getty Images