誰にだってアイドルはいる。世界最高峰に上り詰めた男にも、憧れの存在はいるのだ。
2017年にリバプールに加入して以降、UEFAチャンピオンズリーグ、クラブワールドカップ、そして悲願のプレミアリーグも制し、アフリカ年間最優秀選手にも輝いたモハメド・サラーにだって、当然憧れの選手はいた。
ジョーダンの人間性に感銘
マレーシアのTV局『astro』の番組でインタビューに答えたサラーは、憧れの選手を聞かれると「フットボール選手ならばブラジルのロナウド、ジダン、トッティ」の3名を挙げた。28歳のサラーが子供の頃に活躍していたサッカー界の偉人たちである。
だが「フットボール選手なら」と前置きしたのはなぜだろうか。実は、若い頃のサラーはボクシングやバスケットボールを見るのも好きだった。そして「ボクサーやバスケ選手のメンタリティ」にも興味があったというのだ。
当然、シカゴ・ブルズ黄金期の最後の1年を追った『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』も見たという。サラーが感銘を受けたのはジョーダンの人間性だった。
「あそこまでの大スターになったらイメージとかを気にするもの。でも彼は自分を偽らず、『俺のやり方はこうだ。俺を受け入れるかどうか決めろ』という姿勢だった。そこは凄いと思う」
ジョーダンほどではないかもしれないが、サラーだって今では世界的なスター選手だ。先日、何気なく見た映画『イエスタデイ』でも彼の知名度をうかがうことができた。
サラー自身も世界的スター
『トレインスポッティング』などを撮ったダニー・ボイル監督と『ノッティングヒルの恋人』などの脚本を書いたリチャード・カーティスという、英国映画界の巨匠たちがタッグを組んだ作品である。純粋に映画として非常に面白いのだが、やはりダニー・ボイル作品なのでサッカーの小ネタに期待して見てしまった。
すると、あるシーンで小ネタが出てきた。ロサンゼルスからリバプールに行きたいと言い出す主人公に、それを止めようとするアメリカ人のマネージャーが「リバプールにあってLAにないものって何よ?」と問い詰める。すると主人公は「モー・サラー、シラ・ブラック、豆料理、雨」と返答。日本語字幕は「サッカー」になっているが、主人公は真っ先に「サラー」の名前を出したのだ。
スティーブン・ジェラードやケニー・ダルグリッシュでも良かったと思うが、2019年公開の映画では「サラー」になるんだと感心させられた。
確かに、リバプールの現役選手の中から1人だけ名前を出すならサラーなのだろう。ジョーダン・ヘンダーソンでは名前が平凡すぎるし、トレント・アレクサンダー・アーノルドでは長すぎる。南野拓実はまだ加入していなかった。
いずれにせよ、サラーが世界的なスター選手である証拠だ。
冒頭に紹介したインタビューで、彼は初めてファンに話しかけられた日のことを振り返った。エジプトで初めて試合に出たあと「写真を撮らせて」と頼まれ、サラーは「なぜ僕の名前を知っているんだい?」といろいろ問い詰めてしまったという。
「本当にうれしかったよ」とサラー。「あの時のこともそうだし、それ以前のことも忘れないようにしている。プライバシーは減ったけど、僕は有名人に憧れていたのだから、実際に名前を知られるようになったことに文句は言えないよ!」
初心を忘れないモハメド・サラー。新シーズンもゴールを量産し、チームに栄光をもたらすはずだ。
Photo: Getty Images

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