2月15日、ブラジルサッカー連盟エジナウド・ホドリゲス会長が、ラモン・メネーゼスのブラジル代表暫定監督就任を発表した。
元ブラジル代表選手のラモンは、2003年の1シーズン、東京ヴェルディで攻撃の主力としてプレーした元Jリーガーでもある。
指導歴は、現役引退直後の2013年にアシスタントコーチとしてスタートし、2015年からは監督に。古巣のバスコを指揮した際には非常にコンパクトで現代的、かつ攻撃的なサッカーを実現し、一時はブラジル全国選手権首位に立った。ラモンの名前をもじった「ラモニズム」という言葉も生まれたほどだ。そして昨年3月からは、U-20ブラジル代表監督として手腕を発揮している。
連盟は1月17日に前任チッチ監督との契約を正式に破棄した後、次期監督の選考と交渉を続けている。ただし、今のところは対象の監督と親交の深いロナウドやカカーといった元ブラジル代表選手たちが非公式に接触している段階であり、今後いよいよ、最有力候補とみなされているカルロ・アンチェロッティ(現レアル・マドリー監督)の代理人と会長が直接話をする段取りが整いつつある、というのが最近までの報道だ。
連盟の方では「然るべき時にガラス張りにして発表する」という当初からの姿勢を崩しておらず、実際の状況はわからない。
そんな中で発表されたのが、今回のニュース。W杯後初めてのFIFA国際マッチデーに親善試合モロッコ戦が相手ホームで開催(3月25日)されること。そして、ラモンが暫定監督としてこの試合の指揮を執るということである。
会長はラモンを絶賛している。
「ラモンは特別な敬意に値する。若い監督で、非常にポテンシャルが高い。我われが全カテゴリーの代表チームのために求めているのは、新しくて大胆なアイディアを持つプロフェッショナルたちだ。彼はU-20で優秀な仕事をし、現代的、かつブラジルサッカーのすべての特徴を備えたプレースタイルをチームに植え付けることができた」
ラモンは神妙な表情でこう語った。
「ブラジル代表のシャツを着るのは、名誉で光栄なことだ。U-20代表とA代表でのモロッコ戦という、大きなチャンスをくれた会長にはとても感謝をしている」
CBF本部での暫定監督発表時のホドリゲス会長(右)とラモン
焦って決定するくらいなら
この決定を、ブラジルのサッカーメディアは好意的に評価している。焦って次期監督を決めようとして迷走するよりは、理想の監督、もしくはそれにできるだけ近い監督たちと冷静に交渉するのは賢明な判断であろう。
ラモンの就任についてもそうだ。暫定監督という前提でまったく違った監督を招へいするのは、その人選が難しい。また、親善試合とはいえ2026年に向けた仕事のスタートだ。6月の南米予選スタートを前に、一貫性を欠くイベントのような形でこの機会を無駄使いする暇はない。
会長は「昨年のW杯で準決勝進出を果たした強敵モロッコとの対戦は、ブラジル代表にとって良いテストになる上に、ブラジルサポーターの興味を再び呼び覚ますための試合になる」と、重要性を語る。
その状況において、ラモンは連盟と契約中の監督であり調整しやすく、人間関係もできている。
今年1、2月に開催されたU-20南米選手権では7勝2分でU-20W杯出場枠を獲得した上、2011年を最後に遠ざかっていた13年ぶり、5大会ぶりの優勝を達成した。
ラモン自身が「黄金」と呼ぶ世代を手がけ、その主力となるべき数人の選手たちをクラブの方針によって欠いた中でも招集した選手たちの個性とポテンシャルを生かしながら、チームの結束力を高めて全体を底上げした。それはまさに、会長が今後のブラジル代表監督に求めていることの1つだ。
U-20南米選手権優勝後の監督会見に選手たちが乱入。手洗い祝福を受け笑顔のラモン
いったい誰を招集するのかに興味津々
会長はすでに、ラモン自身がこのモロッコ戦のために良いと考える選手を、自由に招集することを保証している。そのため、監督と選手の双方がこの試合をどう生かすかが焦点になり、メディアもラモンの招集メンバー発表に興味津々だ。
チッチの技術委員会から現在も継続している数少ないメンバーとして、2人のプレー分析担当者と生理学者がいる。彼らがここまで蓄積し、W杯後も更新し続けている約50人の選手のデータと情報がラモンにも提供されている。カタール組を含め、ここまで代表の常連だった選手たちの中からラモンが誰を招集するのか。
これまで代表に定着できなかったものの、クラブで好調なブラジル国内組がチャンスを得る可能性もある。あるいは、今後U-20W杯からパリ五輪、2026年W杯への期待感を抱かせてくれる若手がA代表初招集をつかむかもしれない。
ラモンは「W杯で素晴らしい活躍をした強い相手と対戦するために、招集リストを熟考したい。最高の選手たちがいるのだから、素晴らしい招集ができることは間違いない」と意欲を語る。
今でも、会うたびに「ハジメマシテ、ラモンデス!」と日本語を披露してくれる元Jリーガーのブラジル代表初采配を、日本人としても応援したい。

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