リバプールなどで活躍した元ノルウェー代表DFヨン・アルネ・リーセ(42歳)が現役復帰を果たした。
現役時代の輝かしい実績
リーセは、母国ノルウェーのオーレスンでキャリアをスタートさせると、フランスのモナコを経て2001年にリバプールに加入。左足から放たれる強烈なロングシュートを武器に、マージーサイドでは公式戦350試合近くも出場して左サイドバックながら31ゴールをマークした。
“世紀のカムバック”と称えられた2005年のチャンピオンズリーグ決勝でも、ミランに3点を先行されながら後半には反撃の狼煙となるスティーブン・ジェラードのヘディングシュートをお膳立て。PK戦ではシュートを止められてしまったが、それでもフル出場してクラブ5度目の欧州制覇に貢献した。
その一方で、2007年にはカラオケで歌うことを強要される“カラハラ”で同僚の元ウェールズ代表FWクレイグ・ベラミーと揉め、ゴルフクラブで殴られかけたこともあった(それがベラミーの得点後のゴルフパフォーマンスを生み出した)。そんな騒動もあったが、リバプールではCLのほか、FAカップやリーグカップ制覇など輝かしい実績を残した。
その後、2008年にリバプールを退団すると、ローマやフルアムなどでプレーしたのち、一度は引退するもインドで現役復帰して短期間だけプレー。そして2017年に正式に現役を退くと、その後は指導者の道へ進んで2021年からはノルウェー女子トップリーグに所属するアバルズネスで監督を務めている。だが今回、選手への未練を断ち切ることができず、6月8日に現役復帰を果たしたのである。
久々の実戦ながらPKで得点も
リーセが出場したのは、彼が監督を務めるクラブの男子チームの、ノルウェー5部のゲームだ。背番号16を背負い、既にチームが3-0とリードしていた49分から出場。すると73分、ノルウェー代表通算110キャップを誇るリーセは、18年前のCL決勝では失敗していたPKを沈めてネットを揺らしたのである。最終的に復帰戦を9-2の勝利で飾ったリーセだが、久しぶりの実戦で緊張もあったという。
金色のスパイクで登場した42歳は「試合前には緊張もあったが、ピッチに立ったら試合に入れた。スパイクは昨日買ったのさ」と試合後にノルウェーのメディア『Nettavisen』で語った。
「酷いPKだった。思い切り蹴り込みたかったが、直前に足を伸ばしてしまっていたのさ。だからコースを狙ったが、それが酷かった。でもGKに止めらなくてよかったよ。止められていたら、明日の練習で女子チームの選手たちに馬鹿にされるからね!」
今後のプレー継続も宣言
女子チームとの契約を2年延長したばかりのリーセは、今後もプレーを続けると話す。「仕事の合間の楽しみさ。(男子チームの)監督が私の力を認めてくれたらうれしいね。みんなで練習し、ロッカールームで和気あいあいと過ごす。そういったことが恋しかったのさ。ピッチに立って、信じられないほど真剣という感じではなくプレーができる。それが楽しいんだ」
だが、勝負となれば本気である。
現役時代と比べると、かなり上半身が丸くなったリーセも「夏の間にもっとコンディションを整えて、秋のシーズンに備えたい」と意気込んでいる。
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