万博開幕を6日後に控えたタイミングで、6代目山口組が「抗争終結宣言」である。


 特定抗争指定暴力団山口組の幹部が7日、兵庫県警察本部に「今後は一切のもめ事を起こさない」と記した誓約書を提出した。


 7日午後、県警を訪れたのは、森尾卯太男本部長(大同会)、安東美樹若頭補佐(2代目竹中組)、津田力若頭補佐(4代目倉本組)の3人。事前に6代目山口組側から訪問する旨の連絡があったという。


 2015年8月、司忍山口組組長(83)の出身母体「弘道会」を中心とする体制に不満を募らせた13人の直系組長が山口組を離脱し、「神戸山口組」を結成。組長には井上邦雄山健組組長(76)が就任した。これまで6代目山口組と神戸山口組は、血で血を洗う抗争を10年間続けてきた。


「山口組が県警に提出した誓約書には『抗争』とも『神戸山口組』とも書かれてへんかった。ヤツらは『抗争』いう言葉を使いたくない。神戸の連中は自分らに反旗をひるがえして出ていった処分者であり、単なる内輪もめみたいな言い方をしとった。万博開幕までにケリをつけたかったんちゃうかな。これまでも五輪とか国民的なイベントがあると、その間、おとなしくしとった。それが任侠道を重んじる山口組のやり方や」(捜査事情通)


 一方、山口組から離脱した神戸山口組側は、抗争終結の意思を示していない。


「山口組は今回の件で井上と接触したわけでもないし『一方的な終結宣言』というしかない。

井上にしたら、そない言われたからいうて『あーそうですか』と納得できひんやろ。命の保証も難しいやろうし井上が何も反応せえへんから山口組としてもこうするしかない。特定抗争指定を外してもらいたいのがミエミエや。一応ポーズをとっただけ」(前出の捜査事情通)



7代目高山組長の誕生か?

 15年末に約1万4100人だった6代目山口組の構成員と準構成員は、昨年末には約6900人に減少。神戸山口組も約6100人から約320人に減った。


「戦力差」は歴然だが、井上組長は「1人になっても引退・解散はしない」と周囲に漏らしているという。抗争が続く限り、警備にあたっている兵庫県警に命を守ってもらえる。


 暴力団に詳しいノンフィクション作家の溝口敦氏は「これしか解決策はなかった」とこう続ける。


「これ以上、抗争を引き延ばすことは世間が許さず、このままでは人事も一向に代わり映えしない。兵庫県警が神戸山口組に対し、『おまえたちの意向はどうなんだ』と尋ねたところで、『勝手にせえ』となるかもしれないが、結果的に終結を受け入れざるを得ないのではないか。神戸山口組はもはやガタガタで自然解体するしかなく、山口組に対し、どのような手も打てない。10年に及んだ分裂抗争は何ら形式ばったこともなく終わり、6代目山口組の勝ち、神戸山口組の消滅ということになるのではないか」


 分裂抗争勃発から10年、6代目山口組の組員は半数以下になり、司忍組長は83歳、後継者とみられる高山清司若頭も77歳になった。

抗争終結を宣言して司組長が引退し、高山若頭が7代目山口組長に就任する目算か。


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