大手鉄道会社の助役が自社の駅構内で利用客のパンチラを盗撮していた。


 奈良県橿原市の近鉄大和八木駅構内で、30代女性のスカート内にスマホを差し入れ、下着を撮影したとして、近畿日本鉄道の社員で大阪統括部運輸部の助役を務める桝本智浩容疑者(53)が29日、性的姿態撮影処罰法違反の疑いで県警橿原署に現行犯逮捕された。


 GW前半の29日、非番日だった桝本容疑者は午後0時55分ごろ、大阪からの帰宅途中に近鉄大和八木駅で下車した。上りエスカレーターを利用していたスカート姿の女性の背後に近寄ると、スマホを持った手をスカート内に差し入れて、パチリと撮影。女性は足にスマホが当たっていることに気付き、振り返って「盗撮したでしょう」と桝本容疑者を問い詰め、「交番に行きましょう」と駅員に引き渡した。


 桝本容疑者は「下着が見たかったので盗撮した」と容疑を認め、スマホには盗撮画像が保存されていた。桝本容疑者の自宅の最寄り駅は1つ手前の真菅駅。近鉄の社員は営業路線内を自由に乗降できることから、わざわざ乗り越していたようだ。


 仕事面について同社広報部に聞くと、「業務全般にまじめに取り組んでおり、問題はなかったと聞いてます」とのことだった。


 各鉄道会社が乗客の盗撮防止に取り組んでいるが、その社員が駅構内で利用客のパンチラ盗撮とは、開いた口がふさがらない。


 そんな中、効果を発揮しているのが、全国の主要駅で導入が広がっている、広角に映せる「特殊ミラー」の存在だ。すでに奈良の隣の京都府では今年1月、京都府警と各鉄道会社が協力し、JR京都駅、京阪三条駅、近鉄新田辺駅など、府内の10駅に設置している。


■鏡があるとつい見てしまう


 導入のきっかけは、盗撮犯がふと漏らした「後ろを振り向かれると盗撮しにくかった」という一言。警察はこれをヒントに、鏡が盗撮抑止につながるのではと考えた。


「特にJR京都駅のエスカレーターはとても長く、駅構内は女子学生や外国人観光客でごった返しています。景色や建物、ガイドブックを見たり、友人との会話に夢中になるあまり、周囲に注意が行き届かず、盗撮に気付かないケースも多い。鏡があるとつい見てしまう心理を利用し、行動変容を起こし、横や背後を意識してもらう狙いがあった」(府警犯罪抑止対策室担当者)


 設置前と設置後の3回、府内8カ所で1日約400人の行動を観察したところ、横や後ろを振り向く割合が約5%から20%に増加したという。


「人混みのエスカレーターなどは死角ができ、盗撮がバレにくい。鏡が設置されることにより、被害者だけでなく、周囲の視線も集まるようになるため、盗撮犯もなかなか犯行に及びづらくなります。横のミラーに目をやると、後ろに立っている人の手元まではっきり確認できます」(捜査関係者)


 盗撮王国「ニッポン」の汚名を返上できるか。


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