逮捕の「決め手」となったのは、コメ袋に仕掛けたGPSだった。
コメの価格が高騰する中、全国でコメの盗難被害が相次いでいる。
今月16日夜から17日早朝にかけ、鈴木容疑者は地元の後輩男性(43)が両親と住む住居に忍び込み、敷地内に設置されたコンテナ型の冷蔵室内に保管してあったコメ1袋5キロ(4500円相当)を運び出した。
男性宅は数週間前にも冷蔵室内からコメ袋を盗まれる被害に遭っていた。そこで男性がGPS発信機付きのコイン型の防犯タグをコメ袋に入れておいた。
17日午前中、コメ袋がなくなっていることに気付き、スマホでGPSの位置情報を確認したところ、自宅から徒歩20分ぐらいの場所にあることが判明した。
「ココ、鈴木さんの家じゃねぇの」
男性はスマホに表示された位置情報を見て、漁港近くで1人暮らしをしている先輩の姿が思い浮かんだ。警察に通報し、家宅捜索の結果、鈴木容疑者の自宅から空になったコメ袋と防犯タグが見つかった。盗まれたコメは別の袋に移し替えられていた。
■防犯タグには気づいていたが…
「証拠を隠すためにコメを移したのかもしれないが、そばに防犯タグが放置されていた。防犯タグは音が鳴るようになっていて、現場で男性に発信してもらい、被害者の家から持ち出された盗難品であることを確認した。鈴木は防犯タグが入っていることは認識していたが、『何だ、コレ』と気にもせず、処分しないまま、ほったらかしにしていた。それで足がついた」(捜査事情通)
調べに対し、「全く心当たりがありません。
「自分で消費するために盗んだようです。被害者宅はコメ農家ではなく、6畳ほどの冷蔵室で食料品を保管していた。犯行当時、他に金目のものもなく、たまたま置いてあったコメを盗んだ可能性もある」(前出の捜査事情通)
鈴木容疑者は5、6年ほど前、現在の自宅に転居してきたという。
「長いこと仕事をしておらず、生活保護を受けている母親からもらったお金で暮らしていたようです。親戚が所有する物件を借りて住んでいますが、電気、ガス、水道は止められている。毎日、徒歩5分ぐらいのところにある母親の家に行き、食事や風呂を済ませ、洗濯もしてもらっている。それ以外は自宅にこもりっきりです」(知人)
電気、ガス、水道代だけでなく、食品を買う金もなくなったのか。