ただでさえイカつい連中が組事務所に出入りして物騒だというのに、闘犬がうなり声を上げながら辺りをウロついていたら、住民は怖くて外にも出られない。
「世界最強の犬」といわれる「アメリカン・ピット・ブルテリア」(ピットブル)をリードをつけずに散歩させたとして、愛知県警中署などは20日、6代目山口組の2次団体「司興業」組長の森健次容疑者(75)と組幹部、組員の男3人を名古屋市動物愛護条例違反の疑いで逮捕した。
森容疑者ら3人は共謀して4月28日午前5時26分から30分ほど、名古屋市中区の暴力団事務所で飼っている体長約60センチのピットブルを近くの路上や公園内でリードをつけないまま散歩させていた。
「公園近くの施設の関係者が『放し飼いはやめてください』と申し入れたそうですが、聞き入れてもらえず、近隣住民から警察に『犬に追いかけられた』『怖い』などと苦情や相談が寄せられていた。幸いこれまでケガをした人はいません」(捜査事情通)
ピットブルは飼い主に対しては忠誠心、服従心が強い一方、警戒心が強く、攻撃的な性格だという。2022年、岐阜県で散歩中のピットブルが帰宅中の女性の耳を食いちぎるなど、度々、事故を起こしている。そのため所有や飼育が禁止されている国もある。そんな危険な闘犬を放し飼いにしていること自体、犯罪行為だ。
3人が所属する司興業は1967年、6代目山口組の司忍組長が設立。3代目組長の森容疑者は司組長の側近中の側近と言われ、山口組直参のひとり。中京大応援団出身で、角界や芸能界に豊富な人脈を持つ。
森容疑者は2010年、他人名義で契約した東京都内の賃貸マンションに住んでいたとして、詐欺の疑いで警視庁に逮捕されたが、当時は大相撲野球賭博騒動の渦中。角界と暴力団の関わりが次々明らかになり、関係解明が狙いではないかといわれていた。
■絶対に逆らってはいけない存在
週刊文春は同年7月15日号で「逮捕された『山口組六代目側近』朝青龍『誕生会』に出席していた!」というタイトルで<なぜ、この“大物側近”の逮捕が、角界の面々を戦かしているのか。
<六代目体制になってから、森さんはヤクザと芸能界の窓口になっていました。名立たる芸能プロの社長らが挨拶に行っています。森さんはユスリ、タカリのようなことをする人ではないから、業界でも凄く評判のいい人物でしたが、同時に、絶対に逆らってはいけない存在なのです>
若かりし頃の森容疑者はフランス人俳優ジャン・レノ似の風貌で人当たりも良かったそうだが、やはりタダの「愛犬家」ではなかった。