千載一遇のチャンスと思ったのかーー。


 中年転売ヤーは自身が経営する会社の資金繰りのため、複数の名義を使って“大谷凱旋”チケットの抽選に応募し、多額の転売益を得ていた。


 ドジャースの大谷翔平選手が出場した3月のMLB開幕シリーズのチケットを高額で転売したとして、警視庁生活安全特別捜査隊は25日、チケット不正転売禁止法違反の疑いで千葉県船橋市の会社役員、小久保護容疑者(54)を逮捕した。


 小久保容疑者は自身や親族が経営する複数の会社名義で法人向けの抽選に応募。ドジャース対カブスの開幕シリーズ2試合と、巨人や阪神とのエキシビションゲーム4試合がセットで販売された「6試合パック」4セットに当選した。内訳は2席分が2セット、4席分が2セットだった。計72席分のチケットを入手した小久保容疑者は一般販売開始前の2月14~15日、都内の男女3人に開幕戦のチケットなど12枚(定価43万円相当)を約790万円で不正販売していた。


「72枚のうち62枚分を母親名義のアカウントなどを使って転売サイトに出品し、1枚あたり最大200万円、定価の約33倍で転売。MLB開幕シリーズのチケットだけで2180万円の利益を得ていた。残りの10枚分は自分たちが観戦するために使ったそうです」(捜査事情通)


 小久保容疑者は千葉県内で飲食店設備と清掃メンテナンスの会社を経営していたが、実体のない会社名義で購入していた疑いもある。調べに対し、「コロナ禍で赤字決算が続き、会社を存続するために資金調達しなければいけなかった」と供述しているという。


■高利目当てに“素人”が続々参入


「今回のMLB開幕シリーズだけでなく、日本のプロ野球チケットの転売も繰り返し、2022年4月から今年3月まで577件、1067枚を扱い、3120万円の利益を得ていた。その金を開幕シリーズのチケット購入資金に充てていたようです。メジャーとプロ野球合わせて転売益は5300万円に上る」(前出の捜査事情通)


 警視庁のサイバーパトロールで今回の高額転売が発覚。

開幕シリーズの「プラチナチケット」を巡っては、2月16日に一般販売が始まると一気に価格が高騰した。


「アメリカまで観戦に訪れる時間と手間、費用を考えれば多少高くてもチケットを入手したいとか一生に一度、メジャーリーガー大谷の凱旋試合を生で見たいというファンも多かった。主催者側は防止策として『不正転売チケットの無効化措置』を打ち出しましたが、効果はなく、転売サイトには100万円台のチケットが数多く出品されていた」(マスコミ関係者)


 スポーツや音楽などのビッグイベントが開催されるたびに、高利目的の「素人転売ヤー」が続々参入。警視庁は取り締まりを強化し、「転売目的の購入は処罰される可能性があり、定価を超えた転売チケットを購入することは犯罪を助長することになるのでやめて欲しい」と呼びかけているが、需要がある限り、転売ヤーは消えないだろう。


編集部おすすめ