視覚障害のある男性は高額な伝票を確認できず、足に装具を付けた男性はスマホを取り上げられて翌朝までサウナ店で監禁され、実家まで新幹線で取り立てに押しかけられていた。


 障害者向けのマッチングアプリで知り合った男性を店に誘導し、ぼったくり行為を繰り返していたとして、警視庁保安課は自称バー経営者の鈴木駿太(22)と、いずれも従業員の大野詩織(21)、鈴木拓磨(21)、劉佳稔(20)ら4容疑者を監禁と東京都ぼったくり防止条例違反の疑いで逮捕した。


 グループのメンバーは障害者を装い、障害者向けアプリで男性とマッチング。待ち合わせ場所に現れたニセ客の女が男性を渋谷区道玄坂のバーに連れて行き、飲み放題プランを注文。「トランプゲームをしよう」と持ち掛け、ペナルティーとして大量の酒を飲ませ、女とグルの店員が「飲み放題ではない酒を飲んだ」と言いがかりをつけ、高額な金額を請求していた。


「男性は有り金を全部取り上げられたうえ、ATMで口座残金を引き出し、限度額いっぱいまでキャッシングをさせられた。クレジットカードでネックレスとブランドバッグを買わされ、消費者金融の審査を受けるために翌朝まで8時間、サウナ店で監禁された。男性は下半身に障害があり、店員に監視されていたため逃げ出したくても逃げられなかった。男性は店員から『ATMの手続きをしている間に他の予約客の対応ができなくなり、予約がキャンセルになった』と損害賠償まで要求され、総額240万円を支払った」(捜査事情通)


 この店を巡っては、昨年9月ごろからぼったくり相談が相次いでいた。男性54人が総額8000万円以上の被害に遭ったとみられ、その中に障害者4人が含まれていた。4人は弱視や下肢障害の他、うつ病や発達障害を抱え、4人だけで被害額は410万円に上る。


■日替わりでチーム編成


 事件の舞台となったバーには男女十数人のぼったくり要員が出入り。日替わりでチームが編成され、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」で指示を受けていた。今回、逮捕された鈴木容疑者は「駿太グループ」のチームリーダーで、女性を装って男性をおびき出す「オトリ役」や男性を店に連れて来る「キャスト役」、客に高額料金の説明をする「ホール役」、逃走防止・警察の警戒に当たる「ハリ役」、消費者金融でローン契約を結ばせる「補償役」に分類されていた。


「メンバーたちは店のことを『クイーン』『キング』『ジョーカー』と呼んでいたが、バーの正式名称は『SNOW』で開店時間は夜11時です。グループ内には複数のチームがあり、開店までの時間帯を『ぼったくり専用バー』として使っていたようです。障害者用アプリで相手の警戒感を解き、若い女性との出会いの機会が少なく、経済的に余裕のある独身の障害者をだましていた」(前出の捜査事情通)


 調べに対し、鈴木容疑者は「知人が歌舞伎町でぼったくりをやってたくさん稼いでいると聞き、ぼったくりグループに入った」と供述しているという。


 健常者だけでなく、障害者までターゲットにするとは、極悪非道と言うしかない。


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