悪徳経営者は女性客を風俗店に沈めた後も店に通わせ、高額な飲み代を支払わせていた。
男性スタッフがカウンター越しに接客する「ボーイズバー」の女性客を性風俗店にあっせんしたとして、神戸市中央区の「Berserk(ベルセルク)」の経営者、神野晃輝(37)、会社員の井上大輔(34)、無職の高岡裕樹(34)ら3容疑者が2日、職業安定法違反の疑いで兵庫県警組織犯罪対策課に逮捕された。
神野容疑者は2022年3月、井上容疑者と高岡容疑者を通じ、20代の女性客を神戸・福原にある風俗店で働かせた。
「女性客は神野の店を週2~3回の頻度で利用し、『売掛金』と呼ばれるツケ払いが約180万円あった。神野は売掛金を回収するため、風俗店の勤務経験があり、業界に顔が利く井上と高岡に相談。知り合いの風俗店を紹介してもらい、女性客を沈めた。女性は風俗店で働いている間も神野の店に通い詰めていたため、売掛金はほとんど減らず、最終的に自己破産の手続きをした」(捜査事情通)
ベルセルクを巡っては神野容疑者同様、従業員の男(38)が昨年4月、別の30代の女性客に「ナンバーワンになりたい」と言って売掛金約260万円をつくらせ、脅して回収しようとした恐喝未遂の疑いで10月に逮捕されている。
男は女性客にLINEで「ええ加減にせいよ。とりあえずすぐに払いに来い」「金を払いに来んかったら、どうなっても知らんからな」とメッセージを送り、売掛金約260万円を脅し取ろうとした。県警は従業員とともに経営者の神野容疑者を風営法違反(無許可営業)の疑いで逮捕。その後の調べで今回のあっせん行為が明らかになった。
■店ぐるみの犯行
「女性客は高額な支払いができるほど、現金を持っていなかったが、神野からシャンパンなど高価な酒を注文するよう言いくるめられ、『今日は支払わなくていいから』とツケ払いにしていた。そうしているうちにどんどん借金が膨らんだ。ボーイズバーという呼び方が違うだけで、やっていることは悪質ホストと同じ。
ベルセルクはネットで男性スタッフを募集。
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などと明記されていたことから、ホストクラブとボーイズバーの両店舗で女性客を沼にはめようとしていたのかもしれない。
ホストクラブやメンコンなどの女性客が借金を背負わされ、返済のため、売春などを強要されるケースが後を絶たない。悪質ホスト問題を受け、先月、取り立てなどを規制する風営法が改正。「色恋営業」「スカウトバック」が禁止され、無許可営業の罰金の上限が3億円に引き上げられた。
これでますます「ホスト狩り」が加速するかもしれない。