「目立たなければ摘発されないと思った」
現行犯逮捕されたベトナム人経営者の女は調べに対し、こう供述しているという。
無許可でガールズバーを営業したとして、警視庁保安課は4日、東京・湯島のバー「LAM」の経営者グエン・ティ・フオン・ラム容疑者(30)と女性従業員2人を風営法違反の疑いで逮捕した。
店の従業員10人は全員ベトナム人で、民族衣装「アオザイ」を着て接客していた。営業時間は19時から翌朝5時まで。料金は40分2000円で飲み放題だった。アオザイ姿の従業員が店の前で客引きをし、店のシステムを説明することもあった。
摘発のきっかけはこうだ。昨年10月、ベトナムバー発祥の店とされる湯島の「QUEEN」など、都内のガールズバー5店舗の従業員17人が逮捕された。その流れでQUEENから独立したベトナム人も湯島でガールズバーを経営していることが判明。それが2023年12月にオープンしたLAMだった。
「料金の20~30%が女の子の取り分になるドリンクバックなど、店のシステムはQUEENとほぼ同じだったが、古巣の摘発を受け、リクエストという指名制度を取りやめた。指名が接待行為にあたり、カウンター越しの接客であれば問題ないという認識だった。通常は20分ごとに女の子が入れ替わるが、お気に入りの女の子がいれば、無料で客につかせていた」(捜査事情通)
店は従業員と客のコミュニケーションを「売り」にしていた。SNSで求人し、留学資格で来日している日本語学校の学生を雇用。
店はオープンからわずか約1年半で8500万円を売り上げていた。
「グエンは儲けた金のほとんどを借金返済やベトナムに住む母親への仕送りに充てていたそうです。それだけ稼ぎがあっても、決してハデな生活を送っていたわけではなかったようです」(前出の捜査事情通)
グエン容疑者は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で滞在。警視庁は今後、入管難民法違反や不法就労助長などの疑いで捜査を進める。借金を抱えたまま、母国に退去強制させられることになりそうだ。