「会いたい人?……あいつかな。謝ってほしいって思う」
嵐の二宮和也(40)が、6月17日の誕生日に発売する自身初の新書「独断と偏見」(集英社新書)の取材会で口にした言葉が話題となっている。
その人物とは、旧ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川前社長(享年87)。性加害問題が明るみになった今となっては、触れることすらタブー視されがちな名前を、あえて“会いたい人”として挙げ、「あいつがあんなことしなければ、僕がこういう道を歩くこともなかった」と続けてみせた。
二宮はもともと、性加害問題がクローズアップされた当初も、テレビ番組で、「僕は(性加害を)信じたくなかったし、信じていなかった。でも、やっぱり被害に遭われた方がいるという事実がある。だったら僕らがまずやらなきゃいけないのは謝ることだったんじゃないか」などと発言していた。
発言は一見、率直で誠実にも聞こえるが、その裏にある計算を指摘する声もある。
「彼は事務所にいた頃から、自分の言葉でしゃべれる人ではありましたが、今こうして完全に外に出た立場だからこそ、改めて堂々と過去に踏み込めた。それも、新書発売のタイミングで出してきたのがニノらしい」(スポーツ紙芸能記者)
確かに同書の出版は個人事務所「オフィスにの」の立ち上げ以降、初の大きな自己発信。しかも、嵐が2026年春のファイナルコンサートをもってグループ活動終了を予定している今、あえて「謝ってほしい」という言葉を世に出す意義は計り知れないという。
「タイミングが完璧なんですよ。会社として責任の所在が曖昧になり始めた今、過去を見つめ直すスタンスを打ち出せば、“自分は加担していなかった”というポジションも確保できる。あくまで質問への回答という体裁を守りつつ、必要な批判はきっちり盛り込む。
二宮のこうした“機を見るに敏”な先見性は、今に始まったことではない。たとえば2019年、グループが活動休止を控える中、ファン離れのリスクを承知の上で、次の展開を見据えていたのか、最初に結婚を発表したのも二宮だった。
また、趣味のゲームを生かして旧ジャニーズでいち早くYouTube「ジャにのちゃんねる」を開設。現在は、「よにのチャンネル」に発展し、登録者数は490万人を誇る。ゴールデン帯のレギュラーに昇格した「ニノさん」(日本テレビ系)も好調で、地上波とネットの両輪で抜群の安定感を誇っている。
「2023年の性加害問題が噴出した際は、最も早く独立を決めたのも彼。彼は事務所のゴタゴタに巻き込まれたくないという意志が明確でした。沈黙を守りながら、着実に出口戦略を練っていたのでしょう」(キー局ディレクター)
今回の「謝ってほしい」発言もまた、騒動が一段落した今だからこそ出せた安全圏からの発言と言えそうだ。
責任を問われる側には立たず、被害者への共感を示し、発信力だけは確保する。その立場は、加害構造からは距離を取りつつ、元所属の看板は利用するという絶妙なライン。“俯瞰で自分の立ち位置を測る立ち回りのクレバーさ”にこそ、彼の本領がありそうだ。
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2023年10月に「STARTO ENTERTAINMENT」社長に就任した福田淳氏が、2年を待たずに退任するという。