子どもや母親、家族連れなど、多くの利用客で賑わう夕方のファストフード店で、「シノギ」を巡って暴力団員らによるどつき合いの乱闘が繰り広げられた。


 大阪府警捜査4課は先月、特定抗争指定暴力団6代目山口組弘道会野内組「権太会」の幹部、宮本こと李昌芳(55)と牧野こと丁永剛(50)両容疑者ら48~57歳の男7人を傷害容疑でパクり、この7人に対する殺人未遂容疑で不動産業の梁人彰(61)と弟の喜博(56)両容疑者を逮捕した。


 2月10日午後4時半ごろ、「マクドナルド住之江公園駅前店」で場違いな強面の男3人がテーブルを囲み、大声で罵り合っていた。3人は李容疑者と丁容疑者と梁(兄)容疑者。シノギを巡る話し合いだったが、権太会側は聞く耳を持たず、交渉は決裂。ハナからケンカ腰だった梁容疑者は「権太会がなんぼのもんじゃ」と思ったのか、声を荒らげると、李容疑者の拳が梁容疑者の顔面を「ガツン」と捉えた。すかさず丁容疑者が背後に回り込み、梁容疑者を羽交い締めにし、李容疑者が顔面をボッコボコにどついた。それでも梁はヤ容疑者クザ2人を相手にひるむことなく、やり返した。


「梁はシャバに出てきたばかりで、服役しとる間にシノギを権太会に奪われたんや。梁は『オレのシノギやないか』『返さんかい』と詰め寄ったんやが、そんなもん返してくれるわけがない。まったく相手にされんかったわけや。それでも梁の根性はハンパやなかった。20年ぶりのシャバやったが、大暴れした。店内は騒然となり、110番通報が入った」(捜査事情通)


 李と丁の両容疑者は、梁容疑者ともみ合ったまま店内を出て仲間が待機する駐車場へ。

権太会の子分5人が加勢し、追いかけてきた梁容疑者をフルボッコにした。そこへ車で待っていた梁容疑者の弟が助けに入り、組員らに向かって急発進を繰り返し何度も車を衝突させた。相手が躊躇しているスキに弟は兄を車に乗せ、再度、向かってくる連中をはね飛ばして、その場から走り去った。


「李と丁は山口組の中核組織である弘道会傘下の野内組の幹部で、権太会のナンバー2と3や。昨年5月、大阪市内の路上でロレックス172本が入ったジュラルミンケース5個を無施錠の車ごと強奪した事件があり、その指示役としてパクられたんが丁で、その後、不起訴処分となった。一方、梁は昔から怖いもの知らずのイケイケで、よう揉めごとを起こしとったんやが、出所後は足を洗い、カタギになった」(前出の捜査事情通)


 この乱闘騒ぎで他の客が巻き添えになることはなかったが、暴力団関係者がよりによって一般市民が利用するファストフード店で交渉のテーブルを持つなんて誰にも予想がつかない。事と次第によっては市民にも危害が及んでいた。


編集部おすすめ