「口喧嘩サークル」のリーダーは元メンバーの男性を拉致監禁した上、半グレ組織のリーダーに20万円で売り渡そうとしていた。
19歳の男性を連れ去って監禁し、人身売買しようとしたとして、大阪府警捜査4課は1日までに、半グレ組織「松本狂う」の上平竣(30)と岡崎佑奏(23)、口喧嘩サークル「プレステージ」の高野力(24)の3容疑者と、17~19歳の少年3人を生命身体加害略取、監禁、人身売買未遂容疑で逮捕した。
今年4月7日午前5時ごろ、少年ら2人が奈良市内の路上を歩いていた19歳の男性を車に引きずり込み、東大阪市に住むメンバーの集合住宅に連行した。少年は男性に「おまえがSNSにアップしたオレのリンチ動画を消せや!」「パスワードを教えんかい」と迫ったが、男性は首を縦に振らなかった。すると少年は「服を脱げや」と命じ、全裸になった男性を複数回、ブン殴った。
拉致から約6時間半後の午前11時45分ごろ、男性が「腹が痛い」「トイレに行かせて」と訴えた。途中から合流した岡崎容疑者ともう1人の少年が見張り役となり、付近のコンビニへ連れて行った。そこで男性が「拉致されて部屋で殴られ、裸で土下座させられた。今、解放されてコンビニの男子トイレにいる」と110番通報。そのやりとりをドア越しに聞いていた2人は、その場から一目散に逃走した。
「プレステージには6000人のメンバーが在籍。高野は口喧嘩サイトで相手をさらしものにして、とことん“口撃”する手法でトップの座に君臨していた。上平もプレステージの元メンバーで、独立して松本狂うを結成。
上平容疑者と高野容疑者は現場には行かず、ビデオ通話で岡崎容疑者らに指示をしていた。
「岡崎は男性を一緒にコンビニに連れて行った少年に『(男性の)身柄買わへんか』と持ち掛けたが、『いらん』と断られたため、グループの共有サイトに『身柄欲しいヤツおるか』と投稿。上平が手を挙げた。<男性を支配する権利>として20万円で取引することで話がついた。上平は東大阪の監禁場所まで身柄を引き取りに来ることになっていたが、男性に逃げられたため、実際に売買は行われなかった。上平の組織には地下格闘技の参加者約20人が所属。上平自身もケンカ相手の情報を徹底的に調べ上げ、襲撃に行くスタイルを貫き、仲間内で恐れられていた。周囲には『人間を飼う』などと漏らしていた」(前出の捜査事情通)
6000人の若者が口喧嘩を繰り返し、それがエスカレートして人身売買とは、恐ろしい世界だ。