中国人カンニング業者は「小型マイク」「ペンダント型中継機器」「米粒大の極小イヤホン」を替え玉受験生と中国人受験生に渡して不正受験を繰り返していた。


 京大大学院生の王立坤容疑者(27)が他人に成り済まし、同じTOEICの試験会場で受験する中国人男女に解答を伝えていたとして逮捕された事件。

警視庁国際犯罪対策課は22日、中国人10人に成り済まして受験したとして、王容疑者を有印私文書偽造・同行使容疑で再逮捕した。王容疑者の逮捕は4回目。


 王容疑者らは事前にカンニング業者から、3~4センチの小型マイクとペンダント型の中継機器、約3ミリの金色の粒状骨伝導イヤホン、機材の使い方を指南する40秒程度のマニュアル動画を受け取っていた。


 動画では、「カンニングセット」の使い方を説明。中国語の音声と字幕で<まずペンダントを首にかける><金属ビーズ(イヤホン)を1つ取り外し、頭を傾けて耳の中に入れ、奥まで滑り込ませる><ブルートゥースからデバイスをみつけ、ペアリングさせる>という解説があった。


「王はマスクを着けて小型マイクを隠した。一方、受験生はスマホとつなぐため、お守りに見立てたペンダントを首にかけ、金属ビーズの極小イヤホンを耳の奥に装着。ブルートゥースにつなぎ、王から問題の解答を伝えられていた。イヤホンは外からまったく見えず、誰にも気付かれなかった。金属ビーズが付いた棒は磁石になっていて、テスト後は棒を耳の中に突っ込んで引き出していた」(捜査事情通)


 これらのマニュアルは中国版のSNS「小紅書(レッド)」に投稿され、<取出型納米藍牙耳機>として詳しい使用方法が説明されていた。意味は日本語で<マグネット取り出し型ナノブルートゥースイヤホン>だった。


■2年間で800人あまりが不正に関与か


 ある中国籍の受験生は、「中国のSNSで不正受験を検索して5万円支払った」と話している。

主催者によると先月までのおよそ2年間で、800人あまりが不正に関与しているという。


 今年5月、主催者から警視庁に「試験開始直前、ブツブツとしゃべっている受験生がいる」「990点満点の試験で900点以上の中国人が最近、不自然に増えた」「最近、顔写真が同じだが、名前が違う受験生がいる」という相談が寄せられていた。


 王容疑者は5月18日に逮捕された際、自身の顔写真が載った別の中国人留学生の学生証を所持していて「都内の駅で中国人に渡された」と供述。背後に組織的な専門業者が存在するとみられている。


 中国人留学生らがこぞってカンニングする目的は、高得点を取って有名企業に入社し、より高い給料を得るためだった。


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