「いびきがうるさくて耐えられず、殺そうと思った」


 衝撃的な動機だった。


 千葉県市原市で自営業を営む伯父(53)の味噌汁に、刻んだキョウチクトウの葉を混ぜて殺害しようとしたとして、県警市原署は1日、同居する甥っ子の高校3年生の男子生徒(18)を逮捕した。


 甥っ子は7月17日午後0時15~25分ごろ、食事中の伯父のもとに「伯父さん、どうぞ」と言って毒入りの味噌汁を持って行き、自室に戻った。しばらくして伯父が味噌汁を口に入れると、味に違和感を覚え、舌がビリビリしびれ出したため、洗面所の三角コーナーに吐き出した。


「その時点で伯父は甥っ子のことは全く疑っていなかった。家族間のトラブルもなく、疑う理由もなかったことから追及もしなかった。甥っ子は自室にいたため、伯父が味噌汁を飲んだところは見ていない。伯父もまさか自宅で味噌汁に何かを入れられるとか、そんなことが起きるなんて思ってもいなかった。甥っ子は母親とその実兄にあたる伯父の3人で、伯父の家で暮らしていた。甥っ子はその日、学校を休んで家にいた」(捜査事情通)


■6時間後にハンマーで女性を襲撃


 キョウチクトウは公園や緑地に植えられている常緑樹。花や葉、根など全体に毒素「オレアンドリン」を含み、口にすると吐き気や下痢を引き起こす。警察は入手法や経路について、今後、調べを進める。


 甥っ子は薬物混入から6時間後、千葉市で新たな事件を起こす。午後6時15分ごろ、JR千葉駅改札内の女性トイレで40代と50代の面識のない女性2人の右肩付近を金属製のハンマーでブン殴り、千葉中央署に現行犯逮捕された。

その際、「誰でもいいから自分より弱い女性を狙って傷つけようとした」と供述していた。


「中央署から連絡を受け、心配した母親と伯父がその夜のうちに中央署に駆け付けた。署員が2人に話を聞いている最中も伯父は腹痛を訴え、ずっと体調が悪そうだった。日付が変わっても回復しなかったため、救急車で緊急搬送されたが、味噌汁をすぐに吐き出していたため、軽症で済んだ」(前出の捜査事情通)


 警察は三角コーナーに残っていた味噌汁を押収。鑑定の結果、1杯分に致死量以上の毒素が含まれていたことが判明し、甥っ子が混入を認めたことから、再逮捕した。


 事前にキョウチクトウやハンマーを準備するなど、計画的な犯行だった。なぜ伯父のいびきに耐えられなくなったのか。犯行直後、見知らぬ女性2人を襲おうと思ったのか。


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