「SNS型ロマンス詐欺」の手口で男性からだまし取った金をホストに貢ぎ多額の売掛金を背負う女にヤミ金ヤクザは目を付け、暴利をむさぼっていた。
違法な高金利で現金を貸し付けたとして、警視庁組織犯罪対策特別捜査隊は12日までに出資法違反の疑いで、六代目山口組系清水一家の幹部、石川健一容疑者(53)を逮捕した。
2022年11月~23年9月、石川容疑者は井田しずく被告(28=詐欺罪などで公判中)に現金30万円を貸し付け、法定利息を大幅に上回る計78万円の利息を受け取った。
井田被告は19年ごろから新宿・歌舞伎町のホストクラブに通い始め、次第に支払いに困るようになり、21年3月、ロマンス詐欺に手を染めた。
マッチングアプリで知り合った男性に「キャバクラの給料が盗まれ、託児所代や家賃が支払えず、生活が困窮している」「支払いの当てもなく死にたい」などと身の上話をし、「何でもするから」と懇願。加工した自身の顔写真や下着姿の画像を送り、直接会わずに現金を振り込ませていた。少なくとも90人の男性から計1億300万円をだまし取っていた。
井田被告は昨年11月、詐欺と窃盗の疑いで逮捕され、「ホストクラブで知り合った男性客から石川を紹介された。ホストに計7000万円を使った」と供述していた。
「男性客は石川の子分です。石川はホストにハマり売掛金を抱える女性客をターゲットにして金貸しをしていた。石川はかつてヤミ金融業を資金源としていた暴力団・五菱会を前身とする山口組の2次団体、清水一家の幹部です。五菱会は客に新たな融資を持ちかけ、借金を膨らませ、違法な利息を請求し、多額の収益を上げていた。石川も当時、『ヤミ金の帝王』と呼ばれた組織のナンバー2からノウハウを学んだはず」(捜査事情通)
24年1月、別の恐喝未遂事件で石川容疑者の自宅をガサ入れしたところ、井田被告に30万円を貸し付けた借用書が見つかった。
「借用書には利息についての記載がなく、支払いが滞った井田は利息だけを返済していた。さらにホストの売掛金返済のためにロマンス詐欺を繰り返し、オンラインカジノにも金を突っ込んでいた。石川は他にも歌舞伎町のホストクラブでカモを見つけ、融資を持ち掛けていた。石川とホストがグルになっていた可能性もあります」(前出の捜査事情通)
魑魅魍魎が跋扈する世界だ。