【2025秋ドラマ 注目美女の魅力と素顔】#6


 八木莉可子
 「終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-」
 (フジテレビ系)


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 カンテレ(関西テレビ放送)制作によるフジテレビ系月10(月曜夜10時)ドラマは、2021年にドラマ枠として復活して以降、女優のキャスティングにセンスの良さを見せている。


 24年は1~3月クールに奈緒がとんねるず木梨憲武とダブル主演した「春になったら」、春には杉咲花主演の「アンメット」を放送。

25年夏は「僕達はまだその星の校則を知らない」で堀田真由がヒロインを演じた。


 そして、この10月期は草彅剛主演「終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-」が放送中。ヒロインの新人絵本作家を中村ゆり(元YURIMARI)が演じているほか、遺品整理会社の新人社員役で八木莉可子が出演。


 八木が今回演じているのは、いつも殻にこもっていて、しかも、嗅覚障害を抱えている久米ゆずは役。彼女はこれまでにも陰のある役、悩みを持つ役を好演してきた。


 01年7月7日生まれ、滋賀県出身(ちなみに、前クールの月10ドラマでヒロインを演じた堀田真由も滋賀県出身)。


 16年に女優デビュー。同年に雑誌「日経エンタテインメント!」の取材で彼女にインタビューしたとき、「雑誌でインタビュー取材されるのは今日が初めて」と語っていた。


 24年には「潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官」(日本テレビ系)でゴールデンプライム帯連ドラ初主演。


 八木莉可子の過去の出演作を振り返ると、演技派女優の「若き日」を演じた作品がいくつかある。22年にNetflixで配信された「First Love 初恋」では満島ひかりが演じた主人公の少女期、24年公開の「劇場版ドクターX FINAL」では米倉涼子が演じる絶対失敗しない外科医・大門未知子の医学生時代を好演した。


 ドラマや映画の回想シーンで顔が似た児童劇団系の子役が主演女優の少女期を演じることはよくあるが、八木莉可子の場合はそれとはまた違って、「主人公のもうひとつの物語」を描くためにふさわしい存在感と演技力がある女優としての起用なのだと思う。


 ファミリーマート(吉田鋼太郎らと共演)や高砂熱学工業、揖保乃糸などの出演CMでは、ドラマでのシリアスな表情とは対照的な明るい笑顔を見せている。それを見ていると、初めて取材したときの彼女の屈託のない笑顔を思い出す。


 タイムマシンに乗って14歳の彼女に再会できるなら、「八木さんは10年後には、みんなに親しまれている、すてきな女優になっているんだよ」と教える……のは未来がわかってつまらないので、やっぱり、やめておこう。


(高倉文紀/女優・男優評論家)


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