【涙と笑いの酒人生】


 ガダルカナル・タカさん
 (タレント/68歳)


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 芸能界切っての一大勢力、たけし軍団のガダルカナル・タカさん。バラエティー番組でのユニークなエピソードは数え切れないが、酒席のネタも仰天ものだ。


 たけし軍団で酒が強いのはダンカンそのまんま東が双璧。次にラッシャー板前。つまみ枝豆は飲むけど、そんなに強くないですね。グレート義太夫井手らっきょ、柳憂怜、松尾伴内は飲みません。


 僕も強くない。ちょっと前は薄めの麦焼酎の緑茶割り、今は食事に行った時に小さいグラスに生ビール一杯とハイボールかな。昔から飲むと眠くなるタイプです。


 飲み話で今でも思い出すのはやっぱりたけしさんと松方弘樹さん。人気番組「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(1985年4月~96年10月)のころのことです。たけしさんと松方さんの飲み比べは有名だけど、実際、本当にすごかった。


 たけしさんは毎日いろんなところに飲みに行くのが面倒なので、好きな時間にいつでも飲めるように四谷(東京)に「居酒屋北野屋」をつくったんです。「元気が出るテレビ」の収録が終わった後はそこで松方さんと一緒に朝方まで飲んでいました。


 ある時、店長が白く濁った濁り酒を1升、日本酒2升もらってきましてね。2人で飲みだした。「うまい、うまい」と言いながら、クイックイッと。1本がアッという間に空になり、次の1本、また次とどんどん開けて結局、2人で3升全部、飲んじゃった。あの2人が飲むのを止めることは誰もできませんからね(笑)。


 でも、それで終わらなかったんですよ。さらに日本酒を2本空けました。2人で5升! とても普通の人が飲める量じゃない。しかも、すごいのはそれでもおふたりはケロッとしていた。足元がフラつくこともなく、帰っていきましたからね。


■レミーマルタンを1人に1本。松方流おもてなし


 松方さんに京都でご馳走になった時もすごかったですね。

「今日はいい酒を飲むぞ」とレミーマルタンが出てきた。それをみんなで飲むのかなと思ったら、お店の人が一人一人の目の前にレミーマルタンをドンドンと1本ずつ置いていく。1人1本です。僕はどう考えても無理なのに、飲めないとは言えないし、ストレートで飲みました。でも、弱いから2杯目くらいで頭がガンガン痛くなり、3杯目を飲んでいる時に記憶がない。あの時はどうやって帰ったのかも覚えていません。高級なお肉を出していただいたのにもったいなかったな。昭和の大スターはみんなこんな感じなのかと思いましたね。



全裸で先を越された、たけしさんとの忘年会

 たけしさんとの忘年会の思い出もあります。たけしさんが珍しく2次会の店を指定して「先に行ってるからな」と店を出ていった。われわれ軍団が後から行って店のドアを開けたら、たけしさんが全裸でカウンターに座って先に飲んでいた。


 やられたと思った僕らは「クソッ」と裸になり、ナニに花を結びつけて「いい店ありますね」なんて言いながら入っていきました(笑)。

そんなおふざけを普段からいつもやっていました。


 そんな僕らに出くわしたお客さんはかわいそうだけど、でも、当時はネット社会じゃないし、逆に「たけし軍団が店で脱いでる」と喜んでいる時代でした。


 よくご馳走になったのは(明石家)さんまさんです。20年くらい前、さんまさんがお酒を飲めるようになってからです。メンバーはさんまさんの他は「明石家さんちゃんねる」に出ていた僕と(笑福亭)笑瓶ちゃん、松尾、温水(洋一)クン、たまに木田優夫。最初にメシの店で集合し、それから六本木のクラブを2、3軒ハシゴする。クラブがハネたら六本木でアフターです。


 毎週、行ってた時もあるし、最低でも月に2回くらいは連れて行ってもらいました。支払いは全部さんまさん。さんまさんはどれくらいお金を使っていたかなあ。カラオケの店は日本一料金が高い店でしたね。


■酒席でもクラブのお姉ちゃんを笑わせることに専念する明石家さんまさん


 さんまさんは朝までいてもずっとあのテンションのまま。

アフターで誘ったクラブのお姉ちゃんたちも笑わせて。そういう時は笑瓶ちゃん相手なら笑瓶ちゃんの笑い、まっちゃん(松尾)ならこの笑いみたいなのがあって、それにお姉ちゃんを絡ませて面白い笑いをつくっていました。それがさんまさんにとってはストレッチ、キャッチボール、ノックのようなものなんでしょうね。普段の笑いの訓練になっているんです。


 ただ、笑瓶ちゃんが亡くなってから1回集まったのが最後ですね。


 さんまさんの誕生日のことも覚えています。さんまさんは飲んで帰宅後に、大好きなテニス、サッカーがある時はテレビでチェックします。それがない時は誕生日とかにもらった高価なバッグとかに好きなもの、キャラクターとかを自分で縫いつけ、オリジナルを作る。


 そこでさんまさんがその作業をするのに便利なように、みんなでお金を出してバッグとか皮に縫い付けることができるミシンを買って送りました。さんまさんは手先も器用なんですよ。


■好評!たけし軍団のYouTube


 僕自身、最近はコメンテーターというのか、パネリストみたいな仕事が増えています。そういう番組では僕らしさを出そうとしてちょっと砕けて見せたりしていますが、このご時世でマジメなコメントをしなきゃならないことが多くなってきた。

そのフラストレーションがたまってくるんですよね。軍団で今、YouTubeをやっていますが、そこでできる面白いことはないか模索しているところです。時代が変わって僕らがこれまでやってきたことはできないものが多いので、そこをなんとかこじ開けようと。おじいちゃんたちが面白いことをやっているなと思えるものや、提供できる場がないかを考えています。


(聞き手=峯田淳)


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