3年前の参院選終盤に発生した安倍元首相銃撃事件をめぐり、殺人罪などに問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判は大詰めを迎えつつある。奈良地裁で開かれた2日の第12回公判は3回目の被告人質問とあって、初公判に次ぐ400人超が傍聴券を求めて列をなした。
第11回公判に続き、検察側の質問からスタート。山上被告は事件前日、奈良市内にある旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連施設が入る建物に発砲した。高校時代に教団の関連行事で宿泊したことがあったため、「真っ先に思い浮かんだ」「(教団の)関係者なら安倍元首相との関係性が深いことは知られているが、一般社会ではそう思われていない。あらかじめ示しておかないと、違う理由だと思われかねない」などと理由を説明。当日は近鉄の大和西大寺駅近くのショッピングセンターで期日前投票を行い、別の商業施設へ移って3階の窓などから現場の様子をチェックしたという。銃を構えるポーズをとることもあった。
凶行の引き金となった安倍元首相が教団の関連団体に送ったビデオメッセージをめぐり、裁判員が心情を改めて問うと、「困惑したというか、失望したというか」と言い、安倍元首相に対して「嫌悪感、敵意、そういったものが徐々に強まっていった」と口にした。
■高市首相の側近に期日前投票
傍聴したジャーナリストの鈴木エイト氏は「選挙を戦っていた佐藤啓官房副長官に票を投じたとの被告の証言に〈おおッ〉となりました」と言い、こう続ける。
「〈事件を起こすと候補者に迷惑をかける〉と言っていたものの、もともと自民党支持者。佐藤氏は第2回公判の検察側の証人尋問に出廷しましたから、証言を聞いて何を思ったか聞きたいところです。前回の被告人質問で、安倍動画を見た時の感情を〈絶望と危機感〉と表現していたように、動機のポイントは『危機感』にある印象が強まった。政治と教団の深まる関係を自分が何とかしなければ、という切迫感がひしひしと伝わりました。
教団への怒り恨みから、母親を撃つことを「考えたことはあった」とも証言した山上被告。被告人質問は、3日含む残り2回となった。順調に進めば、18日に論告求刑や最終意見陳述が行われて結審。年明けの1月21日に判決が下される。
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山上徹也被告(45)の裁判員裁判の初公判の様子は●関連記事【もっと読む】『安倍元首相銃撃初公判を傍聴…鈴木エイト氏が見た山上徹也被告は「ふてくされているようだった」』で詳しく報じている。

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