東京都の公式Xアカウントが、大炎上している。


 問題のポストは9日に投稿されたもの。

税財源を東京から地方に振り向ける「偏在是正措置」に異議を唱えたもので、「『偏在是正』の名の下に、都民の税金年間1.5兆円が国に奪われ、地方交付税として分配されています」と訴えた。


 さらに「都民が納めた税金は、本来東京の行政サービスの充実のために使われるべきものです」と続けた。


 東京都の小池百合子知事はこれまで、偏在是正に猛反対してきた。5日の定例会見でも、政府・与党が新たに実現を目指す偏在是正策を批判。「東京を狙い撃ちし、一方的に収奪して他の自治体に分配をするということは、地方自治の根幹を否定するものに他ならない」と激おこだった。


 しかし、くだんの投稿に共感する声はほぼ皆無。むしろ《都に富とカネが集中しているのは事実》《東京は地方が育てた若い人を奪っている》《電力をよそにたよっているクセに》などと、批判が殺到した。「国に奪われ」といった強い表現が反感を買ったようで、「どの口が言うか」とツッコまれているのだ。


 同ポストでは「人口1人当たりの一般財源額でみれば、都は全国平均(22.9万円)と同水準(23.8万円)であり、是正すべき『偏在』は存在しない」とも主張している。しかし総務省によると、都道府県が独自施策に使える1人当たりの財源は、東京都は28.1万円で、46道府県平均の7.8万円とは、3倍超の大きな開きがある。


■全国知事会では集中砲火


 実際、都は潤沢な財源を武器に、さまざまな行政サービスを打ち出している。一昨年からは18歳までの子供へ月5000円を支給する「018サポート」や、私立高校授業料の実質無償化も実現。

今夏には、水道基本料金の4カ月無償化を実施した。


 こうした“バラマキ”を連発する都は、全国知事会で度々、やり玉に挙げられている。7月の会議では、自治体の不満が爆発。「東京都が財源の裕福さをもってばらまきにばらまくのが、どれほど全国の自治体の財政に影響を与えているか」(愛媛県・中村時広知事)などと、首長から集中砲火を受けた。


 11日の国会では、政府が改めて偏在是正を進める意向を示した。高市首相は予算委員会で「偏在是正はさまざまな方法で進めていきたい。例えば、法人事業税関係も検討対象になると思う」と答弁した。


 小池都知事の猛反対もむなしく、「是正」の計画は着々と進む。炎上するだけ損だったか。


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 高市首相の“暴走”ぶりについては、関連記事【もっと読む】【さらに読む】などでも詳しく報じている。


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