由美かおるさんに「全編関西弁でいきません？」と提案すると頭を下げられて…【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】
由美かおる（Ｃ）日刊ゲンダイ 画像（1枚）

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#270


　由美かおるさん


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　元祖「美魔女」といえば由美かおるさん。楽屋に現れた由美さんには「後光がさしている」ようで、それまでの空気が一瞬で変わりました。

礼儀正しさはもちろん、立ち姿、座った時のシュッと伸びた背筋等々、姿勢の良さが際立っていました。


　本番前の打ち合わせで恋愛をはじめ、NG項目が複数あったので、通り一遍の話になって盛り上がらないかもしれないかも、という危惧があったのですが、ご本人の輝くオーラを見て不安は吹き飛びました。由美さんがスタジオに姿を現すと50人ほどの観覧者から大拍手とともに「キャー！」「奇麗！」「細い！」という大歓声に包まれました。当時40代とは思えぬ、崩れることのない姿勢、無駄のない所作、絶やさないほほ笑みと完璧な受け答え。


　関西弁のスタッフと話していると、京都生まれの気品漂う関西弁が顔を出し「アカンわ、つられて関西弁が出てきてしまうわ」と端正な顔を崩して大笑いしていました。私は、そんな関西弁のフランクな一面もいいのではと思って「全編関西弁でいきません？」と提案してみましたが「世間が思ってくれたはる由美かおるのイメージを壊したらあきませんから、標準語で話させていただきます」と頭を下げられました。本番でも時折、関西弁が出ていましたが、すぐに標準語に立て直し、ご自身のイメージをきちっと守っていらっしゃいました。


　呼吸法など健康に関する本もたくさん出版されていますが、75歳の現在でも変わらないスタイルにますます説得力が増しています。見えないところでの努力は相当なものだと思いますが、ご自身にとってはいつもと変わらぬ当たり前のルーティンなのでしょう。ファンの方のイメージを壊さないために「由美かおるブランド」を保ち続けていることが高いプロ意識につながっているように感じます。郷ひろみさんが「郷ひろみ」が仕事とおっしゃっていますが、由美さんも「職業・由美かおる」と考えていらっしゃるのではないかと勝手に考えてしまいます。


　現在もジャズのライブなど、新しいことに精力的にチャレンジする姿は生涯を通じてのファッションリーダーだと思います。


（本多正識／漫才作家）


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