【今週グサッときた名言珍言】
「ちなみにジャストミートはギャグではないんです」
(福澤朗/テレビ東京系「伊集院光&佐久間宣行の勝手にテレ東批評」12月2日放送)
◇ ◇ ◇
「ジャストミート!」が代名詞のアナウンサー・福澤朗(62)。彼がそれを「決めギャグ」と紹介されたことに対して補足した一言を今週は取り上げたい。
そもそも「ジャストミート!」は、福澤が「全日本プロレス中継」(日本テレビ系)で使っていたフレーズだ。だが、当時のプロレスファンは、福澤の実況を嫌う者が少なくなかった。
当時は、プロレスで人生を語るようなファンが大半だった。対して福澤の実況は軽かった。うるさかった。そして、どこかプロレスを小バカにしているようにも聞こえた。だから「プロレスを冒涜するな」「福澤を降ろせ」といった声も上がり、脅迫まがいの手紙が届いたりもしたという。
福澤がプロレス中継担当を命じられたのは、日テレ入社2年目の1989年4月。「暗雲たれこめる、といったレベルではなく、いきなりの豪雨といった感じ」(福澤朗著「昭和最後のアナウンサー」弘文堂=2003年10月1日発売)だった。それまで一度もプロレスを見たことがなかったからだ。
今まではプロレス好きのアナウンサーが担当していた。その人たちのマネをしても絶対に勝てない。
そうして生まれたのが「ジャストミート!」という分かりやすいフレーズだった。
その「ジャストミート」に“禁止令”が下ったこともある。それは「全国高等学校クイズ選手権」(日テレ系)。91年に先輩アナの福留功男の後を引き継いだ彼は当然、自分の代名詞を武器にしようとしていた。だが、スポンサーのライバル社が「ジャスト」という商品を発売していたため、“自主規制”されたのだ。
当初は、福留の「燃えているか?」をそのまま引き継げばいいのではないかという意見も出たが、福澤は納得しなかった。自分なりの言葉でないと魂がこもらない。
芸人でも「決めギャグ」を複数定着させるのは難しい。しかし、福澤は、いかに分かりやすく、いかに熱狂を生むかという一心で、複数の決めフレーズを生み出したのだ。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

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