自維政権に“すきま風”が吹いている。17日に会期末を迎える今国会で審議入りのメドすら立たない議員定数削減法案を巡り、高市首相と日本維新の会の吉村代表(大阪府知事)が16日、年明けの通常国会以降の対応を協議。

何としても政権にしがみつきたい維新に対し、高市首相は余裕の構えだ。


「内閣総理大臣の立場から見解を申し上げることは差し控えます」──。15日の参院予算委員会で、定数削減を「連立存続の要件」と強調した維新の片山大介議員に、塩対応を見せた高市首相。「議員提出法案の審議のあり方は国会でお決めいただく」と念を押すように繰り返し、言及を避けた。


 片山氏は連立合意書にサインした高市首相本人から言質を取りたかったのだろうが、諦めたように「(自民党)総裁として我々の思いをぜひ、受け止めていただきたい」とお願い。吉村代表も15日の会見で、定数削減について「審議すらされていないという状態が続いて本当に残念」と悔しさをにじませ、果ては国会を「茶番劇」と罵った。


■「一緒に責任を担っていただきたい」


 維新は焦りとイライラを隠せないが、高市首相はそっけない。維新の看板である社会保険料の引き下げを巡っても、むしろ高市首相のトゲが目立つ。


 当初、維新はOTC類似薬の保険適用除外を目指していたが、保険適用を残したまま患者に追加負担を求める自民・政府案に同調。参院予算委で片山氏が質疑終盤に「数千億円規模の医療給付の削減につなげて欲しい」と求めると、高市首相は「医療関係に関しては御党からさまざまなご提言をいただいております」と前置きし、突然、目に力を込めてこう言い放った。


「本来でしたら『内閣の中で一緒に責任を担っていただきたい』と、特にこの分野に関しては申し上げたいところでございますが……」


 閣外協力のクセに口うるさい維新が癪に障るのか、急に皮肉っぽくチクリ。答弁席の真後ろに座っていた片山財務相も驚きつつニヤけていた。

もっとも、維新が無責任なのはその通りだ。


「自維協議では、追加負担について薬剤費の『4分の1』『3分の1』『2分の1』といった案が出ていますが、対象薬剤の範囲などは決まっていません。どのような疾患、また、どれだけの人数にインパクトがあるのか。実際に保険料が下がるのかどうか。あらゆる前提が不明なまま『数千億』という規模ありきで見直しが進んでいます」(医療団体関係者)


 維新の「やってる感」が不協和音の正体だ。


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