「政治資金パーティーは法的に合法。大臣が安心して、しかし国民の疑念を招かない。

信頼を損ねないような規模で開ける。それは一体どういうものなのか、議論している」──高市首相が閣僚らに政治資金パーティーの開催自粛を求める「大臣規範」を見直す考えを示した。奇妙なロジックだ。


 きっかけは今月1日、片山さつき財務相が都内の高級ホテルで約800人を集めた政治資金パーティーを開催したこと。2001年に閣議決定された大臣規範で、在任中のパーティーは「国民の疑惑を招きかねない大規模なものの開催は自粛する」と定められている。


 12日の参院予算委員会で改めて開催を問題視されると、片山大臣は「1000人以下」「酒食を伴わないセミナー形式」を理由に、大臣規範の「大規模」には当たらず「疑惑を招くことはないと判断した」と主張した。


 この強弁には驚くしかない。資金管理団体「片山さつき後援会」の政治資金収支報告書によると、24年までの3年間、毎年12月にパーティーを開催。いずれも政治資金規正法で定める収入1000万円以上の「特定パーティー」に該当し、24年は2796万円、23年は2881万円、22年は2686万円をカキ集めた。


 パー券の購入者は24年1398人、23年1441人、22年1343人で、3回とも1枚2万円程度だ。今年も同額なら収入は少なくとも1600万円。「券だけ購入し、実際は参加しない人もいる。

収入規模は昨年までとさほど変わらないのではないか」(政界関係者)との意見もある。


 それでも「大規模ではない」と居直る片山大臣には唖然だが、高市首相も支離滅裂だ。「閣僚をやっていて一番困ったのは(大規模の基準が)金額なのか人数なのか、大臣規範には書かれていない」と言い出し、冒頭の屁理屈を持ち出した。



企業・団体献金規制も棚上げ、「政治とカネ」の反省もなし

「『大規模』の定義が明文化されていないのを口実に、『大臣が安心』などと都合よくルールを変更するのは許されません」と話すのは神戸学院大教授の上脇博之氏だ。


「大臣規範は特定の事業者との癒着を断ち切る定め。大臣の絶大な職務権限を考えれば、法令以上に厳しく自らを律するのが当然です。ましてや政治資金パーティーが裏金事件の温床となったのに、懲りていない。高市首相は裏金議員に支えられ、『そんなことより』と企業・団体献金の規制も棚上げ。『政治とカネ』の反省もなく、合法だからと開き直った閣僚のパーティー解禁なんて言語道断です」(上脇氏)


 高市首相は20~22年に政治資金パーティーを計3回開催。総額約1億1309万円を集めたが、岸田政権下の22年8月に経済安保相として入閣すると、翌23年から開催を自粛。先の予算委で「怖かったのでパーティーの企画もできなかった」と語っていた。


 大臣規範見直しのパーティー解禁が「我田引水」ならば、かなりのガメツさだ。


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