【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】
いま業界は「超カオス」です。言い換えれば、ある意味ようやく「テレビ業界の本質的大変動」が始まったということでしょうね。
ただ、残念ながら「いまさら遅すぎるよ」としか言いようがありませんし、もっと残念なことに「いまだにあまり変わろうとしていない局」というのもまあまあ存在している、というのが現実だと思います。
いずれにしろしばらく地上波各局は「新しい形への模索と新しい正解探し」の過程でブレブレの状態を続けるでしょうね。そんなに簡単に「新しい地上波のあるべき姿」が見つかるとはとても思えませんし、なにせテレビ局は免許事業ということで世間の荒波から守られ続けてきている「井の中の蛙」ですから、どこまで真摯に変革できる能力があるのか、疑問符がつくとしか言いようがありません。
■「中高年制作者」はそろそろ引退へ
そもそもここ数年「地上波の番組を作る仕事」は、他のコンテンツ制作と比べてもリスキーでコスパの悪い仕事だとしか言いようがありませんでした。超レッドオーシャンですから、局から不当な要求をされても従わざるを得ませんし、予算削減が激しすぎて赤字覚悟で受注するしかない状況で、利益はほとんど出ない。かつ、自分たちには何の責任もないのに出演者の降板や局の方針転換で突然振り回され、大幅な手直しをせざるを得なくなったり、お蔵入りになったり、いきなり番組が打ち切られたりする。
言い方は悪いですが、「まともな経営者なら制作会社なんかやろうとは思わない」状況が続いていたのに、フジテレビ問題以降の「業界ブレブレ状態」で一層それが酷くなるのは目に見えています。ここまでなんとか「それでもテレビが好きだから」とか「テレビ制作以外できないから」という理由で、根性と忍耐で番組制作を続けてきた人たちがさすがにもう耐えられなくなります。
ということで26年、「実力と才能がある若手」は、一層地上波からは距離を置き、様子見をしながら他のコンテンツを作るでしょう。そして「テレビ業界にしがみつくしかない濡れ落ち葉状態の中高年制作者」はそろそろ引退を余儀なくされるのではないでしょうか。これで世代交代が進みテレビが時代に即して変わるなら、いいことかもしれません。
(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)
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