邦画実写歴代興行収入1位、映画「国宝」ブームは衰え知らず。都内ではモーニング、またはレイトショー帯に移ったものの「国宝見た?」に乗り遅れんとばかりに映画館には人が集まっている。

唯一午後13時台に上映している新宿ピカデリーは週末は完売で2時間前に行っても空振りで、ようやっと平日行ってみると、最前列と2列目以外は満席という盛況ぶり。平日の昼だけに中高年層が多いが、中には学生など若いカップルも多かった。


 上映時間3時間という長時間問題について、高齢者の携帯が鳴りやまないトラブルはあったものの、途中でトイレ休憩の人もおらず「3時間、あんまり気にならなかったね」と話している人を何人も見かけた。タイパ世代の若者もしっかり映画に集中しているのは珍しい。芸能界でも若槻千夏(41)が同作をきっかけに歌舞伎に興味を持ち始めたと明かすなど、歌舞伎への窓口にもなっている。



「原作を読むよりも想像の世界が広がる」

 そんな映画館の盛況ぶりも含め、「国宝」ブームは別のデバイスでも起きている。「オーディオブック」という“聞く「国宝」”である。ナレーションは八代目尾上菊五郎(48)。映画では姉の寺島しのぶ(52)が主人公・吉沢亮(31)の師匠・渡辺謙(66)の妻を演じているが、媒体を超えた姉弟共演を実現している。コンテンツとしては、Amazonオーディブルの評価は4.9と高評価。歌舞伎独特の芝居の言い回しはもちろん、菊五郎の声色づかいはさすが一流歌舞伎役者。「悪役が聞いているだけで憎らしく聞こえてくる。

吉田修一の原作を読むよりも想像の世界が広がる」(40代女性)という声も。


「近年、携帯の動画疲れしたサラリーマン層や、キンドルなど電子書籍を読むのも面倒になってきた中高年層、電車や運転など移動中などの情報取得など多用途でオーディオブックが人気になってきています。そんなオーディオブックの入口が『国宝』になっているそうです」(ITジャーナリスト)


 興行収入178億円を突破し、順風満帆な「国宝」。次はデバイスをまたいで記録を残しそうだ。


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