【続続・あの有名人の意外な学歴】#7


 戸田恵子


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 女優、声優、歌手、ナレーターと八面六臂の活躍を見せる戸田恵子(68)。「それいけ!アンパンマン」の主役の声を37年も務め、今年は原作者やなせたかし氏の妻にスポットを当てたNHK朝の連ドラ「あんぱん」に出演。

昨年はニューヨーク・カーネギーホールでの公演も果たした。


 名古屋市で生まれ育った戸田が芸能の世界に足を踏み入れたのは地元の公立小学校5年の時。新聞でNHK名古屋放送児童劇団の募集広告を見た母から勧められたのがきっかけだった。応募すると合格し、「中学生群像」(「中学生日記」の前身)に出演が決まった。まだこの時点では、芸能界にはまったく関心がなかった。小学校では児童会長を務めるなど、優等生だった。


 その一方で歌うことには興味があった。「中学生群像」に出る前に、フジテレビ系の「日清ちびっこのどじまん」に出場し、東海地区のチャンピオンになったことも。地元の高校に進んだばかりの頃、頼まれて名古屋のローカル局のスター発掘番組に出場。森昌子の「せんせい」を歌った。それを見ていた「ちびっこのどじまん」のプロデューサーから電話がかかってきた。「東京の知り合いのプロダクションが歌手になる子を探しているので、やってみないか」というのだ。


 歌手になれるのならと夢をふくらませた戸田は上京することにした。世田谷区の松陰神社のすぐそばにあったプロダクションの社長宅近くで1人暮らしを始めた。同区にあった駒沢学園女子高校(現在は東京・稲城市に移転)に編入した。


「女優や歌手を多く受け入れてきた学校で、松尾嘉代、高橋真梨子、島田陽子伊藤つかさ松下由樹常盤貴子らが在学していました。といっても、堀越のように芸能コースがあるわけではなく、タレントだからと特別待遇にすることもなかった」


 こう話すのは芸能人の就学事情にくわしい女性誌のベテラン記者。戸田も仕事と学業の両立に苦労し、卒業するまでに4年かかっている。


 高1の2月、「あゆ朱美」の芸名で演歌歌手デビュー。だが、歌手の仕事が忙しくて出席日数が足りなくなったわけではない。


 あゆ朱美名義で4枚のシングルを出したが、注目されることはなかった。多忙を極めたのはバラドルとして。せんだみつお司会のTBSの生放送バラエティーの準レギュラーに起用。「勘がよく、のみこみも早く明るいので、さまざまなコント番組で重宝がられた」と制作会社幹部は振り返る。


 ただ、歌手としてはまったく芽が出ず、嫌気が差して19歳の時、芸能界を辞めようと思ったことも。その後、ミュージカルに活路を見いだしたが、なかなか生計を立てるまでには至らなかった。声優を始めるようになって、なんとか食べていけるようになったという。一生の仕事となるアンパンマンと出会うのは30歳を過ぎてからである。


(田中幾太郎/ジャーナリスト)


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