相変わらず、迷走中だ。農水省は24日まで3日間連続で「おこめ券」に関する自治体向けのオンライン説明会を開催。

すでに同様の説明会は今月3~5日に実施されたが、補正予算の成立を受け制度の詳細が決まったタイミングで改めて開いた。3日には全国から約500の自治体が参加。しかし22日には396と参加自治体が減り、やや寂しかった。


 おこめ券配布は、鈴木憲和農相の肝いり政策。物価高対策の中でも、特に米価高騰に対処するために打ち出した。具体的には、自治体が自由に使途を決められる重点支援地方交付金で、同券配布が推奨メニューに位置づけられている。


 しかし、おこめ券配布は経費率の高さなどが問題視され、代わりにプレミアム商品券などを選ぶ自治体が相次いでいる。


「鈴木農相が『おこめ券はコメ以外にも使える』と発言するなど、当初の米価高騰対策の目的からもブレています。22日の説明会では、自治体から『交付金を水道無償化や現金給付に使えるか』との質問さえ出ました。本来なら農水省の管轄外の質問で、政策の迷走ぶりを表している。農水省も悪評をかわすため、『あくまで推奨』と逃げ道をつくるばかりです」(農水省担当記者)


 毎日新聞の世論調査(20~21日実施)によると、交付金の使途に望むものとして「おこめ券」の回答はわずか8%。「おこめ券以外」が82%だった。

ニーズのない政策を担わされる農水官僚からは、不満が噴出している。


「強まる批判の対応に追われてすっかり疲弊し、『責任は大臣にある』との声も聞かれます」(前出の農水省担当記者)


■「私がごり押ししているわけでもない」


 当の鈴木農相は、おこめ券配布に逃げ腰の姿勢を強めている。説明会のあった22日の会見では、「スピード感のある対応ができている」と自賛する一方で、「私がごり押ししているわけでも全くない」と付け加えた。言い出しっぺが、もはや他人事のような感覚だ。


 就任時に農水官僚を集め「(農政の)全責任は私が背負います」と訓示した鈴木農相。だったら官僚に任せず、おこめ券バッシングの先頭に立ち、自ら配布のメリットを自治体に説明すべきだ。


  ◇  ◇  ◇


 おこめ券をめぐる農水省の迷走ぶりは【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。


編集部おすすめ