12月24日深夜に生放送された「さんまのお笑い向上委員会クリスマス生放送SP」(フジテレビ系)について、《面白いトークで盛り上がってんのは伝わるけど 音声伏せ多すぎて、何が何だかよくわからない》といった視聴者からの意見がXに相次いだ。


「向上委員会」は通常は収録放送だが、この日のSPは深夜0時25分からの生放送。

例年、クリスマスイブのこの時間帯は「明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー」が放送されるが、今年は「向上委員会」に差し替えられた。番組冒頭、司会の明石家さんま(70)は「明石家サンタの代わりにとかいうことは、言っちゃダメ」と、イレギュラーな放送になったことに言及したが、すかさず、手元の「コンプライアンスレバー」なる装置に手を掛けた。


 すると、生放送にもかかわらず、スタジオ内の音声は全カット。代わりに流れ出したのは歌手の山野さと子(62)が歌う「おめでとうクリスマス」。数秒間の「口パク」のあと、さんまがレバーを戻すと、音声は元通りに。さんまは「今回、ちょっと、いろいろルールがあって。生、ヤバイからこれがある」と、その“存在意義”を明かしたのだった。


「レバーについては、フジテレビ原田葵アナから『生放送ということで、フジテレビはメディアの持つ社会的影響力の大きさを自覚』しているといった、奥歯に物が挟まったような説明がされていました」(テレビ番組制作会社ディレクター)


 そもそも「明石家サンタ」が放送できなかったのは、元SMAP中居正広氏(53)に端を発するフジテレビ問題のせいともっぱらだ。一時期、CMのほとんどが差し止めになり、さんまは3月1日の「ヤングタウン土曜日」(MBSラジオ)で、「明石家サンタ」が中止の危機にあることをすでに明かしていたほどだ。


「恐らく今年はスポンサー不足のため、例年なら用意できていたクリスマスプレゼントも用意できず、『明石家サンタ』が放送できなかった。そんな“大人の事情”を口に出せない、言ってはいけないという状況と、“音声を消す演出”を重ね合わせて、それを番組全体のコンセプトにして視聴者に伝えたいということなのでしょう」(前出のテレビ番組制作会社ディレクター)


 このあと、番組終了までたびたび「コンプライアンスレバー」で音声がカットされたため、視聴者からは《コンプライアンスレバーずっと発動してて何も聞こえなくて…》といった不満が続々と上がる事態に。「一部には芸人たちがいつもよりも生き生きと発言していたなんて声もあります」(テレビ誌ライター)というが、「放送できないものを楽しめ」と言わんばかりのコンセプトは、さすがに視聴者には酷だったのではないか。


  ◇  ◇  ◇


「疑惑に対する説明がない」のと「コンプライアンスの縛りでテレビがつまらない」のは別問題だ。関連記事【もっと読む】結局、「見たい人だけが見るメディア」ならいいのか? 「DOWNTOWN+」に「ガキ使」過去映像登場決定で考えるコンプライアンス…では、混同されがちな2つの要素をきちんと分けたうえで論を進めている。


編集部おすすめ