「空き家狙い専門」の窃盗グループは門扉に小石を置く「置き石マーキング」などの手口で留守宅かどうか見定め、空き巣を繰り返していた。


 近畿、中国、九州の5県で空き家に侵入し、貴金属類などを盗んだとして、兵庫県警捜査3課は22日までに住所不定、無職の嶋谷直人容疑者(29)を逮捕・追送検した。


 今年2月、嶋谷容疑者はすでに逮捕された男(28)と共謀し、神戸市垂水区の住宅に忍び込んだ。住民の男性(83)は長期間留守にしていたが、警報装置が作動。防犯カメラに2人が逃走する姿が写っていた。同区内では1月以降、もともとなかった不審な小石が玄関先に置かれるケースが60件以上確認されていた。


「嶋谷らは、明かりがついていない住宅などを狙い、門扉の上に置いた約1~3センチの小石が長時間そのままであれば、不在と判断して盗みに入った。どれも扉の開閉などで落ちやすい場所に置かれていた。置き石があるかないか、動いているかいないかで判断していた。被害に遭った70件のうち60件が置き石だったが、他にも郵便物がたまっていないかとか、庭に雑草が生い茂っていないかを判断基準にしていた。空き家ばかり狙ったのは入りやすいとか、被害申告がないだろうというのもあるが、一番の理由は、住人と鉢合わせして通報されないようにするため」(捜査事情通)


 被害総額は1350万円相当に上るが、空き家にそれだけ金目の物があるのも驚きだ。


「どこに何をしまっているのか、はっきり覚えていない人も多い。実際、被害者に連絡しても『泥棒に入られたのは間違いないようですが、何を取られたか分かりません』と、被害申告ができない人も多くいた。被害品はアクセサリーや時計、ブランド品のバッグなど。

嶋谷は盗んだものをリサイクルショップに持ち込み、換金していた。各地の宿泊施設を転々としながら盗みを繰り返し、盗品を売却して生活費や遊興費に充てていた」(前出の捜査事情通)


 置き石マーキングは空き巣犯が使うよくある手口だが、防犯意識の高い住宅は狙われにくい。人感センサー付きのライトや防犯カメラを設置するなど防犯対策が必要だ。


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