NHK大河ドラマで、これをやっとけば間違いなしというのが源平、戦国、幕末なのだが、なにしろやり尽くしてしまった。役者を代え、新解釈と称していろいろ脚色してみても、しょせん主人公は義経、信長、秀吉、家康、隆盛だから、ストーリーにそれほどの新味があるわけではない。


 そこで、苦肉の策として近ごろ増えているのが“周辺人物”の物語。渋沢栄一「青天を衝け」、明智光秀「麒麟がくる」、井伊直虎「おんな城主直虎」などだが、1月4日スタート「豊臣兄弟!」の豊臣秀長(仲野太賀)は秀吉の弟、究極の周辺人物である。


 秀長は「この人がいなかったら、秀吉は天下人になれなかったといわれる最強の補佐役」だ。出世欲と権力欲の塊のような兄のそばにいて、家康らライバルとの調整に当たり、天下の情勢を冷静に分析して知恵を授け、時にいさめ、時に励ました。温和な性格で、決して野心を持たなかったという。そんな秀長が2026年に描かれるのはなかなか興味深い。



兄・秀吉(池松壮亮)の出世を喜びながらもどこかさみしい補佐役…

「アメリカのトランプ大統領、中国の習近平主席、ロシアのプーチン大統領ら、王様気取りのトップたちはみな有能な補佐役がいない。忠実な側近がいたから上り詰められたのに、偉くなったら、諫言をうるさく思い、自分の座を脅かすのではないかと切ってしまった。いま、彼らの周りにいるのは、追従を並べて取り入ろうという連中ばかりですよ。あの3人にもし秀長のような補佐役がいたら……と思いながら大河を見るのも、面白いかもしれません」(テレビドラマ批評家)


 たしかに的確なアドバイスをする賢者が身近にいれば、トランプも少しは自制するだろうし、習近平は唯我独尊に気づく。プーチンはウクライナに侵攻したりしなかったはずだ。秀吉も秀長の死後、千利休を切腹に追い込んだり、朝鮮に出兵したりと暴走が始まる。


 そして、仲野太賀の秀長は楽しみだ。朝ドラ「虎に翼」ではおのれを捨てて伊藤沙莉のヒロインを助ける優しい下宿生、「新宿野戦病院」(フジテレビ系)では小池栄子の元軍医を手伝うボンボン医師と、いつも主役をもり立てる役どころだった。“脇役中の脇役”の秀長は、まさに仲野のハマリ役。兄の出世を喜びながらも、どこかさみしい補佐役を魅力いっぱいに演じるだろう。


(コラムニスト・海原かみな)


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