正月から度肝を抜かれたトランプ米国のベネズエラ軍事攻撃。空爆してマドゥロ大統領を拘束、ニューヨークまで移送し、拘置所に収容した。


 3日に記者会見したトランプ大統領は、「これは米国の歴史上、最も衝撃的で効果的かつ力強い軍事力を誇示するものだ」と自賛。「政権移行まで我々がベネズエラを運営する」と宣言した。


 もっとも、ベネズエラの暫定大統領であるロドリゲス副大統領は、マドゥロ大統領の即時解放を訴えるなど抵抗している。統治の先行きは不透明だが、トランプ大統領は地上部隊派遣での再攻撃も辞さない構え。とにかくベネズエラを支配下に置きたいわけで、その目的として会見でも強調したのが石油だ。


 ベネズエラは原油埋蔵量で中東の産油国を上回る。米石油大手が権益を掌握する方針も打ち出したが、トランプ大統領が軍事攻撃してまでベネズエラに執着するのは石油だけが理由なのか。


「西半球重視という米国の国家安全保障戦略において、ベネズエラは『目の上のたんこぶ』だったんです」と言うのは上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)だ。こう続ける。


「中国やロシアに近く反米的であり、しかもキューバにも近い。米国に薬物を送りつけてくる敵。石油だけじゃなく、レアアースもあり、そこには利権も入ってくる。

要は、一番近いところで面倒くさいやつをつぶしておこうというのが攻撃の狙いだと思います。米国にとって西半球は『裏庭』。だからここを守るということ。しかし、トランプ大統領はイラク戦争を批判していたのに、同じことをやっている。やり方も雑としか言いようがない。すべて国内法で対応するというし、議会への説明もない。国際法では絶対にアウトですが、国連安保理の常任理事国だから、ロシアのウクライナ侵攻と同じで誰も止めることができない」



次はグリーンランドか

 トランプ大統領は会見で「モンロー主義」の復活に言及した。欧州による西半球への干渉に反対した19世紀の米国の排他的な外交姿勢だが、トランプ大統領はベネズエラについて大統領選前から攻撃をにおわせていた。西半球支配へ力ずくのトランプ大統領。そうなると、次はグリーンランド(デンマーク自治領)やパナマ運河についても武力を振りかざした強奪が現実味を帯びる。グリーンランドについては昨年末、担当特使を任命し、「米国が所有しなければならない」と主張した。


「そういうことも想定しなければならなくなりました。

デンマークは昨年末、同盟国である米国について『潜在的脅威』との報告書をまとめています。一方、東半球は手薄になる。今回のベネズエラ攻撃は、米国が東半球への関与から抜けていく最初の象徴なのでしょう。日本の安全保障をどうするのか、日本外交にとっての瀬戸際でもあります」(前嶋和弘氏)


 つくづく米国はトンデモない男を大統領にしてしまった。


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 高市首相はトランプ大統領に「早く会いたい」と繰り返しラブコールを送るも、調整は難航。「トランプ詣で」したところで適当にあしらわれるのがオチなのでは?関連記事【もっと読む】『高市首相「トランプ詣で」は“片思い”に…初訪米へ「早く会いたい」ラブコール繰り返しに漂う焦燥感』で詳報している。


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