これは妥当な処分なのか──。


 昨年4月、静岡県の新東名高速を走行中、追突事故を起こし、同乗者を負傷させたとして自動車運転処罰法違反(過失傷害)の罪に問われた俳優の広末涼子(45)。

掛川簡易裁判所は昨年末、罰金70万円の略式命令を出した。


 昨年4月7日午後6時45分ごろ、広末は新東名高速のトンネル内で時速約185キロで進路変更し、左右の壁にぶつかり、大型トレーラーに追突。助手席の男性に肋骨を折るケガをさせた。広末は搬送先の病院内で徘徊を繰り返し、制止しようとした看護師を複数回蹴り、腕を引っかいてケガを負わせ、県警に傷害容疑で現行犯逮捕された。


 傷害容疑については示談成立で不起訴。県警はより刑の重い「危険運転致傷」の適用を視野に捜査を進めていたが、地検は昨年12月22日、自動車運転処罰法違反の罪で略式起訴した。


 そんな中、昨年12月9日には、法制審議会で危険運転致死傷罪の適用要件の見直し案がまとまった。制限速度60キロを超える道路だと「60キロ超過」で死傷事故を起こせば同罪が適用され、これまで曖昧だった「制御困難な高速度」が明確化される。


 広末の場合、制限速度120キロの高速道を65キロオーバーの185キロでぶっ飛ばし、トレーラーに激突。一歩間違えば大惨事につながりかねず、70万円の罰金刑は軽過ぎないか。


「罰金が安いか高いかでは済まされない事案です」と、山口宏弁護士がこう続ける。


「新要件のもとであれば、65キロ超過で死傷事故を起こすと異論なく危険運転致傷となり、罰金刑ではなく拘禁刑です。

罰金刑で終わらせること自体が問題です。事例として残りますから」


 今後、似たようなケースで事故を起こし、厳罰が科されたら「なぜ広末は罰金70万円で済んだのか」と苦情が出かねない。


「新要件を適用した改正法案は次の国会で提出される運びですが、厳罰化が目的ではなく、曖昧だった数値基準を明確化するものです。今まで『制御困難な高速度』は印象で決めるしかなかったが、185キロ出したら、さすがにまずいというのが普通の感覚でしょう。そもそも裁判にかけるかどうかの権限を持つ検察が略式起訴と判断したため、裁判所は法廷を開かず、罰金刑を言い渡すしかなかった。たまたま負傷したのが同乗者で、追突したのも大型トレーラーだったから事なきを得ただけ。もし相手が軽自動車だったり、複数台が巻き込まれていたら、死亡事故につながったかもしれません。公開裁判とは、そういうことも含め、世の中に無謀な運転は危険だとアピールする場でもあります。死者が出なかったからといって、軽い処罰で済むような問題ではありません」(山口氏)


 昨年10月、TBS系の「オールスター後夜祭'25秋」が広末と大谷翔平、佐々木朗希らの写真を並べ、「次のうち165キロを出したことがないのは誰でしょう」とクイズのネタに。広末の事務所側は「発言のもととなる情報は公的機関からの発表によるものではない」と猛抗議したが、起訴状には時速165キロを20キロも上回る猛スピードを出していたことが明記されていた。


 広末サイドは事の重大さが分かっているのだろうか。


 昨年4月の事故以来、広末本人の口から何の説明もない。


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「略式起訴」とはよく聞くが、その実態はどんなものなのだろうか? 関連記事【もっと読む】広末涼子さんの追突事故も…「略式起訴」とは何か? 軽いのか重いのか?…では、その実態に迫っている。


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