「M-1(グランプリ)のときと芸風が真逆というか。漫才は自分の主張をワーッてしゃべりで伝えるっていう感じだったけど、一言もしゃべらないじゃん。

何あのおばちゃん(笑)」


 先月放送された「THE CONTE」(フジテレビ系)で東京03飯塚悟志はドンデコルテのコントを見届けてこう口にした。公園で彼女にプロポーズする男(小橋共作)を、ウオーキング中の中年女性(渡辺銀次)が無言でアシストし成功へと導く。漫才師らしい掛け合いではなく、コント師としての有能さを示すようなネタだった。


 昨年のM-1で準優勝し、一気に知名度を上げたドンデコルテ。今年1月の単独ライブが好評を博し、配信チケットの販売期間が2度延長。今年1発目となる「DOWNTOWN+」の生配信では松本人志の前でネタを披露し、前述の「THE CONTE」はもちろん、「ジンギス談!」(HBCテレビ)ではエバースとともに軽快なトークを展開している。


 一方で、カゲヤマ・益田康平との同居生活の模様を配信するYouTubeチャンネル「それいけ益々荘」の動画も話題に。とくに渡辺が「どん底時代に磨いた」というチャーハンを振る舞う動画は179万回再生(2月23日時点)を記録。


 芸歴1年目から渡辺を慕うゆにばーす・川瀬名人がゲスト出演した動画は、長尺にもかかわらず50万回再生を突破している。


 たばこをくゆらせて話す落ち着いたトーンの渡辺。手際よく作られるチャーハンに舌鼓を打つ益田や川瀬。そんなリラックスした空間で語られるさまざまなエピソード。

この絶妙なプライベート感が、視聴者の心を掴んでいるのだろう。


■元はどちらもツッコミ


 渡辺は小橋の5年先輩に当たる。加えて、元はどちらもツッコミを担当していた。普通なら接点を持ちにくい。しかし、お互いのコンビが解散してピンとなり、「芸人を辞めよう」と考えていた小橋が思い切って渡辺に声を掛ける。遊び感覚で何度か漫才をやる中、「一番面白い」と感じる相手だったからだ。


 2018年、ユニットとして活動を開始。翌年にM-1準々決勝に進出し、正式にコンビを結成することになった。以降、しばらく準々決勝の壁を越えられなかったが、2024年に初の準決勝進出。渡辺のちぐはぐな恋愛事情を披露するネタ「恋煩い」で会場を沸かせたが、あと一歩及ばず。昨年、リベンジを果たし決勝に進出したのは周知の通りだ。


 渡辺は、どんなシーンでもマイペース。

先に触れた「DOWNTOWN+」の生配信では番組の流れを気にせず靴ひもを結び直し、松本人志から「嫌いやわ~!」と言われてなお、「ここで急に脱ぐと思わなかったもので」と続け笑わせていた。


 相方の小橋は、決して邪魔をしない。ネタでもトークでも、耳に心地良いトーンで場を和ませる。先日、渡辺が「R-1」の決勝に進出したことも話題となったが、今年は、そんなふたりが幅広いメディアで活躍を見せるのではないか。


(鈴木旭/お笑い研究家)


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