テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 恋愛要素がないと視聴率が取れないということは、実際にはないと思いますが、少なくともNHKはそう思っているフシがありますよね。大河ドラマに限らず「架空の女性」を登場させるのが結構NHKは大好きですもんね。


『豊臣兄弟!』は、結構面白いと思うので、毎週欠かさず見ています。仲野太賀さんの演技は「いいなあ」と思いますし、白石聖さんもいま注目を集めてますもんね。やっぱり、秀長と直の関係から目が離せない。ドラマの大きな見どころになってますよね。でも、白石聖さんが演じる直は、架空の人物なんですよね。なんか少しガッカリするのは私だけでしょうか。


 ドラマはもちろんフィクションなわけですし、時には話を盛り上げるために、実在の人物のストーリーに架空の人物を登場させることも、もちろん悪いわけではありません。今回の『豊臣兄弟!』の直なんかは、うまく架空の人物を登場させたからこそ、盛り上がりを作れている良い例なのだとも思います。


 ただ、なんていうのでしょう……NHKはどうも「ドラマは女性のものだから、女性のことを描かないと盛り上がらない」という先入観が強すぎる感じがするのが、イヤなんです。たとえば連続テレビ小説『あんぱん』では、やなせたかしさんの夫人の経歴がほぼ全部創作でしたよね。僕は結構やなせたかしさんが大好きなんですけど、さすがに『あんぱん』は最初のほうだけ見て、ゲンナリして見るのをやめました。実在の人物、それも歴史上の人物というわけでもなく、つい最近までご存命だった人物の人生をテレビ局が勝手に作ってしまうのは、さすがにどうなんだろう? と私は思ってしまったんです。

ちょっと失礼じゃないんでしょうか。


 やなせたかしさんのドラマなのに、やっぱり「女性を描かないと」というNHKさんの思い込みというか、こだわりがそうさせたのではないかと私は想像しています。でもそれって「実在の人の人生」に敬意をあまり払っていないことになりがちではないでしょうか。ちょっと前には、『NHKスペシャル』でも、女性じゃないけど実在の人物を「絵空事」に描いて、遺族の方からクレームを受けたこともありましたもんね。


 NHKに限らず、テレビ業界全般に言えることですが、「ドラマはこうあるべき」とか、「ニュースはこうあるべき」とか、「ドキュメンタリーはこうあるべき」とか、そういう変な「こだわり」みたいなことって、本当に必要とされてるんでしょうかね? そしてそのこだわりのためなら「事実も曲げて構わない」となると、完全に思い上がりのような気もするんです。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


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