【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#281


 ドンデコルテ


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M-1グランプリ2025」で優勝した「たくろう」に続き、準優勝した「ドンデコルテ」もテレビ出演を増やしています。ツッコミの小橋君(写真(左))はNSC東京19期生、ボケの渡辺君(同(右))は14期生で、大阪で審査に関わっている私にとって2人はとてつもなく完成度の高い“初物”でした。


 ドンデコルテはウケる要素をすべて兼ね備えていました。まず、オチまでしっかり話が聞こえる。決勝に上がってくるコンビですから、声を張るのは当たり前ですが、これが決して当たり前ではありません。「たくろう」はほんの数年前までボケの赤木君の声・言葉がボソボソして聞き取りにくく、語尾に至ってはフェードアウトしていました。これではお客さんが聞き取れません。すべての情報が聞き取れて初めて“笑い”というリアクションが起きるのです。その点、彼らは明瞭でした。


 そして“つかみ”が早い。最初の自己紹介で、名前の漢字を説明しながら、笑いに変えてしまう。自己紹介を漫然と流しているコンビが意外と多い中、お客さんは引きつけられます。


 次に話の展開に無理やり感がない。エバースのように、とっぴな入り方ももちろんOKですが、そのためには、とっぴな話を聞いたツッコミの必然の(常識的な)セリフを欠かすことができません。

ここで誰もが疑問に思う必然のツッコミを入れないと、お客さんはネタについていけなくなり、気持ちが離れてしまいます。ドンデコルテはこうしたお客さんが共感するために必要なセリフを全部詰め込んでいて、無駄なセリフはひと言も、どころか、一音もありません。だから話に入っていきやすく、気がつけば乗せられてしまいます。


 話のテンポもいい。テンポはそれぞれのコンビの特徴ですから、言葉さえ聞き取れれば構わないのですが、ドンデコルテのテンポは年齢に関係なく聞き取りやすい。やはり万人をとらえられるというのは、全国ネットのテレビで起用しやすいという強みにもなります。


 おのおののワードセンス、セリフも秀逸。ネタ作りを担当しているボケの渡辺君が「趣味が読書」ということなので、彼の語彙力が秀逸なセリフ選びに大きく寄与しているのだと思います。


 2人の声の緩急も絶妙。M-1決勝戦の最後では、渡辺君は動き回っていても決して小橋君と離れすぎない。授業では「演じる舞台の大きさを知った上で動きを考えなさい」といつも言っていますが、スペースもしっかり頭に入っている。手を挙げたり握りしめたりの細かい所作も完璧。


 ものすごい練習をしてきているはずですが、それをも感じさせない自然なやりとりで、どれをとっても完成度の高い漫才でした。どんな舞台でもこの完成度を落とさずに精進すれば一段と面白くなること間違いなし! 今年のM-1も大いに期待しています。


(本多正識/漫才作家)


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